日本に伝えられた中国の文化に対して謝意を表すため、日本公益社団法人服飾文化研究会は28日に中国福建省で漢服文化促進会に対し、100年の歴史を持つ着物を贈呈した。中国新聞網が伝えた。
贈呈式は福州市三坊七巷文儒坊福建漢服天下体験館で行われ、中日の伝統衣装文化体験や漢服と着物の着付け文化展示、中日伝統茶芸展示、漢服展示といった一連のイベントが行われ、異なる角度から両国の文化の歴史の源流を披露した。
今回贈呈された「松竹梅柄黒地振袖ちりめん着物」は大正時代に作られた美しい着物で、約100年の歴史があり、日本の中産階級が花嫁衣装として使用した伝統的な着物となっている。着物に描かれている松竹梅などの図案だけでなく、その織りから、染め、刺繍といった技術はいずれもその昔、中国から日本に渡った技術となっている。
日本公益社団法人服飾文化研究会長の渡辺智恵さんは、「現存している文化財の多くは、かつて中国から日本に伝えられたものが多い。その後、日本人は日本の風土に合わせるために伝来した文化財にいくつかの革新を加えた。そして長い年月を経て、それらは日本に定着し、日本独自のものとなった。しかし、私たちが日本文化について話す時、中国との関わりを忘れてはいけない。今回の着物贈呈を通じて、私たちはより多くの中国人に中国文化が日本で長きに渡って重視されているということを伝えたいと望んでいる」と挨拶した。
返礼として、福建省漢服文化促進会会長の鄭煒氏は日本公益社団法人服飾文化研究会に対し、宋・明代の伝統的な女性の礼服を元に作成された漢服の花嫁衣裳を贈呈した。この花嫁衣裳は、中華伝統衣装の文化的背景を表現していると言える。
鄭会長は、「中日両国の文化の往来は数千年の歴史がある。古代より福建地方の伝統文化は広大で寛容であり、海のシルクロードを通して日本と緊密なビジネス貿易と文化関係を築いていた。今回のイベントを通して、私たちの努力で歴史を継承し、『一帯一路』建設の過程において、中日両国の交流を推進できることを期待している」と語った。
贈呈式の後には中日伝統衣装についての文化交流会も行われた。
日本公益社団法人服飾文化研究会は日本にある非営利公益社団法人機関で、1975年に設立し、本部は横浜。会長の渡辺智恵さんは80歳を超えているものの、長きに渡り日本の伝統衣装文化の研究と普及に努めている。また彼女は中日交流イベントにも数多く参加している。日本と福建省の友好交流の歴史は長く、唐宋時代以後の遣唐使の大部分は福建省から上陸したとされている。また、民間の海上貿易が海のシルクロードの繁栄をもたらしたともされており、特に明朝末期に隠元が日本へ渡航し、先進的な文化と科学技術を日本に伝えたことは、日本の江戸時代の社会発展に重要な役割を果たしたと言えるだろう。
「人民網日本語版」2018年9月30日