日本の安倍晋三首相は25−27日にかけ中国を公式訪問した。双方の首脳は会談を開き、多くの共通認識を形成した。両国は一連の協力協定に署名した。安倍氏の今回の訪中は、中日関係が正常な軌道に戻ったことを示しており、かつ中日関係発展の新たな方向性を浮き彫りにした。(筆者・呉懐中 中国社会科学院日本研究所研究員)
これは日本側のマクロ戦略調整、双方の戦略的関係の緩和などのことだ。少なくとも現段階において、日本は対米・対中外交(すなわち最も重要な国際戦略・計画)でバランスを維持し、間を取り調整している。安倍政権はあくまでも米国に協力し中国をけん制し、中国と真っ向から対立することも辞さないという、2013年の態度を改めた。現在は日米同盟を守ると同時に、日中協力関係の強化に力を入れ、日米同盟と日中の協力という選択肢の間で一定のバランスを形成している。米国の政治的な抱き込み、欧米日の連携強化の促進という圧力を受けながらも、日本は理性的かつ冷静な態度を取り、高い戦略的知恵と外交のEQを示している。
双方は世界貿易秩序を守る上で、同じ責任を担っている。米国は一国主義と保護主義を推進し、世界の多国間主義と自由貿易体制に衝撃をもたらしている。中日は、アジアはこの流れの蔓延を容認できず、両国は共に課題に対処すべきと考えている。その結果、現段階において、米国不在により新たな地域経済秩序の初歩的枠組みが構築されている。中日はアジア太平洋諸国と協力し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉を加速し、経済秩序の維持で米国のリーダーシップの不在を補うことができる。安倍氏の今回の訪中で最も大きな経済協力成果は、二国間関係の範疇を超えた第三国における協力により、経済・貿易・科学技術などの中日の実務的協力を質向上・アップグレードの新水準に向かわせることだ。
現在の中日関係の好転は、確かに得難いことだ。日本側はハイレベル交流を通じ、日中関係を新しい段階と新時代に向かわせたいと何度も言及している。しかし関係発展は単なる言葉遊びではなく、名実相伴うものでなければならない。日本はかつて「戦略的互恵関係」について、利益と互恵のみを求め戦略的相互信頼を重視しない低俗な理解をしていた。中日関係の方向性を再び見失わないようにするため、日本側は2つの戦略的問題に自ら答えなければならない。