空母「赤城」と「加賀」を失い、旧日本海軍は敗戦後に解体された。日本自衛隊は平和憲法のもと、「専守防衛」の原則を守り続けた。ところが明治大学の山田朗教授(軍事史)は「海上自衛隊は自衛隊のなか、旧日本軍の伝統をそのまま引き継いだ」と述べた。旧日本海軍の掃海部隊は戦後も米国の意向により残され、日本沿岸部に残留する機雷の撤去を担当したという。
1950年に朝鮮戦争が勃発すると、日本は米国の要請を受け特別掃海隊を発足させ、朝鮮半島沖の任務に派遣した。1951年には旧日本海軍の人員でつくる「Y委員会」を設立し、米国から日本への艦艇貸与などの問題を議論した。新たな海上防衛組織を作るため、1952年には海上自衛隊の前身となる海上警備隊が設立された。
埼玉大学の一ノ瀬俊也教授(日本近現代史)は、「これは旧日本海軍の伝統的な組織を継承しており、空母に対するこだわりもかつてと変わらない。各国海軍は、空母を持ってこそ一流の海軍という考えを持っている。旧日本海軍の意識が強い海上自衛隊も、空母保有を強く願っている。安倍政権の意図と国際情勢の変化が結びつき、空母保有の問題に関する議論が始まった」と指摘した。
日本政府は1988年に国会で、「攻撃型空母の保有を認めない」という見解を示したが、空母保有を目指してきた。1998年には大型ヘリの発着艦が可能な飛行甲板を持つおおすみ型輸送艦が就役し、2009年にはさらに大型のひゅうが型ヘリ搭載護衛艦が就役した。2015年には全長248メートル、排水量1万9500トンのいずも型護衛艦が就役した。
山田氏は「これは改造を前提にした建造だ。政府はいずもの改造を既成事実化し、空母の性能を持つ船を建造しようとしているのかもしれない」と話した。
日米安全保障に関する著書のあるメディア関係者、大内要三氏は「空母保有は他国を攻撃するという宣言を意味する。自衛隊は専守防衛の組織ではなくなり、遠征軍になる」と述べ、この裏には米国の影があると指摘した。「海上自衛隊は米軍との広範な共同作戦を前提とし、空母保有計画を推進している」
実際に米軍と海上自衛隊の一体化が近年、顕著になっている。いずもは昨年5月、房総半島沖で米海軍の補給艦と合流し、安全保障関連法に基づき米軍艦艇を保護する訓練を行った。海上自衛隊は今年10月、米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンと合同演習を行った。
山田氏は世界の軍備競争を引き起こす影響について、「日本が軍備拡張に舵を切れば、中国を刺激することになる。中国が軍事力を強化すれば、インドやパキスタンなどの国が軍備を拡張する。日本は世界の軍備競争のスイッチを押すことになる」と懸念した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月10日