日本政府筋は20日、日本が早ければ来週中に国際捕鯨委員会(IWC)に対して、来年にもIWCから脱退し商業捕鯨を再開すると通達する可能性があることを明かした。
国際環境保護・動物保護団体は、日本にが長年に渡りIWCの禁止令に違反し、「調査捕鯨」を口実に商業捕鯨を行っていることを批判している。
日本メディアの報道によると、脱退の決定を受け国際社会は、頻繁にルール遵守を口にする日本の「ルール軽視」を批判することになりそうだ。
【異例の脱退】
共同通信は複数の政府筋の情報を引用し、日本が早ければ年内にこの決定を正式発表すると伝えた。AFP通信が水産庁の森田勇喜氏(音訳)を取材し、「IWC脱退を含むあらゆるプランを検討中」という回答を得た。
IWCの規則によると、来年脱退するならば日本は1月1日までに正式にこの決定をIWCに通達し、来年6月30日に加盟国としての資格を終了する必要がある。
共同通信によると、日本の国際機関脱退は戦後ほとんど例がなく「極めて異例」であり、反捕鯨国から批判を浴びることになる。また日本の理由も疑問視される。日本が加盟する国連海洋法条約が加盟国に対して、国際組織による海洋資源の利用と保護を呼びかけているからだ。
IWCは1946年12月2日に米国の首都ワシントンで調印された「国際捕鯨取締条約」に基づき設立された。事務局は英国のケンブリッジにあり、89カ国が加盟している。IWCの主な職責はクジラの数を調査し、太平洋の鯨の捕獲・保護措置を定め、捕鯨の厳格な国際監督を行うことだ。人類の乱獲により一部のクジラが絶滅の危機に瀕していることから、IWCは1982年に商業捕鯨を一時中止した。1986年には「商業捕鯨モラトリアム」を正式に決定し、商業捕鯨を厳格に禁止した。
日本は1951年にIWCに加盟し、1988年に商業捕鯨を停止した。しかし日本側は1987年よりモラトリアムの不備を突き、「調査」を口実に南極と太平洋北西部などでの捕鯨を継続した。反捕鯨関係者は、日本が「調査」の旗印を掲げ毎年クジラ保護海域で数百頭のクジラを捕獲し、クジラ肉販売などの商業目的に利用していると指摘した。
【長年の規制】
日本は過去30年に渡りIWCに、ミンククジラなど数の多いクジラの捕鯨再開を求めてきた。豪州やNZなどの国による反対があり、実現しなかった。
IWC内では長期に渡り、商業捕鯨再開を巡り対立が生じている。アイスランドとノルウェーは禁止令の遵守を公然と拒否している。
IWCは2006年の総会で、商業捕鯨再開を支持する議案を可決した。しかし規則によると1986年の禁止を覆すには加盟国75%以上の賛成が必要だ。日本の水産庁によると、89カ国のうち賛成は41カ国、反対は48カ国。商業捕鯨の禁止令は現在も有効だ。
日本は2007年に脱退をほのめかし、IWCが禁止令を維持していることに抗議した。ところが米国などの働きかけがあり、脱退を断念した。
今年9月にブラジルで開かれた総会は、日本にとって直近の挫折となった。日本による商業捕鯨再開を目指すIWC改革案は、豪州、EU、米国を中心に反対された。改革案は否決された。
日本の関係者はその後、日本側と反捕鯨国の立場に大きな食い違いがあることから、「IWC加盟国としての立場を見直さざるを得ない」と表明した。メディアは当時、日本が脱退で脅迫していると解読した。