ルノーと日産に詳しい消息筋は20日、フランス政府が日本政府に対して、ルノーと日産の経営統合に同意するよう要請し、かつ逮捕されたカルロス・ゴーン被告に代わる日産の新会長をルノーから選ぶことを伝えたと明かした。
日産は経営の独自性を保つため、日本政府と協力し統合を阻む防衛策を急ぐ。
【大統領からの意向】
消息筋が共同通信に伝えた情報によると、フランス政府関係者とルノーの取締役でつくる代表団が数日前に訪日した。その中にはルノーのマルタン・ビアル取締役や、ルメール経済・財務相の側近が含まれた。
ビアル氏はフランス政府を代表し、日本の経済産業省の職員に、日本側が経営統合の提案を受け入れ、持株会社を新設するよう希望した。フランス代表団は同時に、日産の後任会長を巡り臨時株主総会を開くことを求め、ルノーから新会長を出すことを希望した。日産前会長のゴーン被告は複数の金融犯罪の容疑で日本の検察当局から逮捕された。
フランス側によると、統合の提案はマクロン大統領の意向という。
フランス政府はルノー株を15%持つ筆頭株主だ。マクロン氏は2015年に経済長官としてフランス政府のルノーに対する増資を主導し、日産の経営への影響力を拡大しようとした。
【切り札を握る日産】
日産とルノーは1999年に提携した。ルノーは日産株43.4%と投票権を持ち、日産はルノー株を15%持つが投票権を持たない。
日産とルノー、フランス政府の三者は、日産に対し不当な経営干渉をしないことで2015年に合意している。ルノーが不当な干渉をすれば、日産はルノー株増資の権利を手にする。これは日産の取締役から「伝家の宝刀」と呼ばれている。
ゴーン被告は2015年に、フランス政府の日産の経営への干渉を阻止した。しかしゴーン被告は2018年2月に再びルノーのCEOに就任すると、フランス側から「(ルノーと日産の提携関係)解散の道を断つ決定的な対策の準備」を求められた。
日産の匿名の関係者は共同通信に対して、ゴーン被告が早ければ2018年に両社の経営統合を推進するという情報を受けたため、日産側は検察当局と緊密に連携し、ゴーン被告の不正行為の社内調査を推進したと話した。
【苦戦は不可避か】
ルメール氏は仏ジャーナル・ドゥ・ ディモンシュ誌の独占インタビューに応じた際に、ルノーと日産の持株比率の変更、もしくはアライアンスの資本構成のバランス調整は「議論のテーマではない」と述べた。独占インタビューの内容は20日に掲載された。
共同通信は、フランス政府が日本側に両社の経営統合を提案したのは、ルノーを強くすることでフランスの経済発展をけん引するエンジンとし、マクロン政権への国民の不満を弱め、政権運営の圧力を軽減するためと分析した。
共同通信は、日産はルノーにとって不可欠とした。利益の貢献を見ると、ルノーの2017年の純利益51億1000万ユーロのうち、約半分が日産だった。雇用創出について、日産はフランスで4万8000人分の雇用を創出しており、ルノーの一部のフランス工場も日産の自動車を生産している。
日産の西川廣人社長は先ほど、ゴーン被告の「失脚」の機会を利用し、ルノーとの不平等な関係を見直すつもりと述べた。経済産業省はフランスからの経営統合の要求への対策の準備を始めている。共同通信は、日産と日本政府の苦戦を予想した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月22日