ロシアの権威ある世論調査機関「全ロシア世論研究センター」の世論調査のデータによると、日本が南クリル諸島の四島(日本名・北方四島)の返還を求めていることを大多数のロシア人(79%)が知っているが、77%弱がそれに反対している。
同センターの責任者は、ロシア社会は島嶼移管の措置が連鎖反応を引き起こすことを懸念している。また専門家らも、ロシアはこれらの島を移管するつもりはなく、日露経済・貿易協力の実現に向け準備を進めるだけだと指摘している。
また「クリル諸島の領土問題はすでに解決済みでロシア領」は29%で、10%が「ロシアがこれらの島嶼を奪回した」と強調。日本に移管に「賛成」は14%のみで、うち7%が「国家間の二国間関係と平和条約の重要性」を強調した。
同センターは、露日両国の南クリル諸島問題をめぐる協議が続くなか、双方が受け入れられる解決策を見いだすため協議を継続する必要性を認識している人が増えていると指摘した。このような意見を持つ人は2009年は35%だったが、2018年には51%に達した。
同責任者は「人々はロシアの島を差し出す必要性を認識しておらず、第二次大戦の成果を変えることで連鎖反応が生じ、その他の島の領有権問題が生じることを懸念している。そのためロシア社会は現在、主に露日の協議を求めており、結果を急いでいるわけではない。自国の利益を考えると、第二次大戦の結果は有効であり、どんなことがあってもこの結果を変えることはできない」と判断した。
その一方で、日本側のこれらの島嶼に対する注目度は低下している。日本経済新聞もほぼ同時期に類似する世論調査を行った。「四島返還すべき」は昨年11月の33%から27%に低下した。歯舞と色丹の返還に「賛成」は41%。これは1956年のソ日共同声明に含まれている内容だ。また「ロシアに返還を求める権力はなんらない」は10%。さらに領土問題の決着前に平和条約を「結んでいい」は42%で、「結ぶべきではない」は46%だった。
ロシアのプーチン大統領は今月、日本の安倍晋三首相とモスクワで会談した。両国首脳は、両国の経済協力を強化し、協力と発展の潜在力を拡大すると繰り返した。双方は、平和条約問題について協議を続けると表明した。プーチン氏は、領土に関する問題の交渉は「苦しい作業」と述べた。露日両国は外交ルートを通じ、次の大臣級会談の詰めの作業に入っている。また2月に独ミュンヘンで平和条約外相級会談を開くことで合意している。
ロシアメディアによると、日本の外務省の関係者は「露日間の領土問題をめぐる交渉は74年続いているが、最終的には必要な妥協案を見いだせるはずだ。ロシア連邦の安全に戦略的な損害をもたらすことはない」と話した。
ロシア民族友好大学戦略研究所の副所長は、次のような見解を示した。日本は平和条約締結と領土の問題を結びつけようとしている。日本はこの状況下さまざまな「ツール」を使おうとしている。これは主に情報面の政治の圧力であり、一部の弱点を見いだそうとしている。これによりロシアの交渉における立場はすでに弱まっている。ロシアが日本にこれらの島嶼を移管することは永遠にない。これらの島嶼は地政学と地理経済に関わり、名誉とイメージにも影響がある。ロシアにとって、平和条約の締結は非常に重要であり、クリル諸島の問題は議事日程に含まれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月31日