安倍氏は昨年9月、東アジアには拉致問題、核問題、ミサイル問題、中日関係の「正常化」、日露平和条約の締結など、冷戦の残骸が残されていると述べた。今年の年頭所感では、これらの問題を列挙した後に再び「戦後日本外交の総決算」を強調した。しかし日本の外交にとって、「総決算」の最大の懸案は日米安全保障体制の問題だ。米軍基地が日本の領土に点在しており、日本が戦後を脱却したとは言い難い。安倍氏は2016年5月にオバマ前大統領を広島に招待したが、米国人から謝罪の一言はなかった。原爆の影は現在も日本人の心を覆っている。
さらに日露の和解は、米国のアジア太平洋における「戦略バランス」を破壊する可能性があり、米国が放任するはずがない。半島問題は当初より日朝間で解決できるものではない。中日関係に改善の流れと必要性があっても、操作を誤れば内外の勢力に利用される。日本が米国に追随する「吉田路線」から外れるのは、口で言うほど容易なことではない。安倍氏のいわゆる「戦後外交の総決算」は道についたが、現状を見る限り依然として一つの願いに過ぎず、今後はより長い道を歩む必要がありそうだ。(筆者:廉徳瑰 上海外国語大学日本研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月18日