自殺率が上昇
刑務所に入るという極端な手段の他に、自殺も日本の高齢者の間では普遍的だ。彼らは他人に迷惑をかけようとしない。
広島のリハビリテーションセンターの責任者である山田さん(85)によると、日本の家庭構造の変化は高齢者による犯罪率上昇を促す原因になっている。家計が苦しいというよりは、心理的な要因によるものだという。
「罪を犯す高齢者には通常、それを引き起こす原因がある。例えば妻や子供がいなかったり、再び現実を直視できなかったりなどだ。世話をし支援してもらえる人がいれば、彼らが犯罪に走ることはない」
山田さんによると、高田さんは貧困を「口実」にしているに過ぎない。高田さんの主な問題は孤独であり、彼が犯罪を繰り返す理由は刑務所内に仲間がいて、それほど孤独にならないからだ。
高田さんの両親はすでに亡くなっている。兄が2人いるが、連絡が途絶えている。彼は2回離婚しており、子供が3人いるが、連絡はしていない。高田さんは、家族が支援してくれれば、このような状況に至ることはなかったと話した。
刑務所、高齢受刑者向けの施設を整える
ニューマン氏によると、日本政府は近年になり刑務所の収容力を拡大し、高齢者、特に女性受刑者の増加を見据え女性警備員を増やしている。またニューマン氏は、刑務所内の医療費が急増していることにも注意している。
東京郊外の府中刑務所の受刑者のうち、60歳以上が約3分の1を占めている。同刑務所の責任者の一人である矢沢正次氏によると、高齢受刑者に対応するため、手すり、高齢者に適した特殊なトイレなどを設置し、かつ高齢受刑者のための授業を行うなどの改善を強いられている。
受刑者は刑務所内でカラオケなどさまざまな活動に参加する。矢沢氏によると、これは彼らに真の生活は刑務所の外にあり、外こそが幸せなのだと分からせるためだ。しかし矢沢氏は、それでも一部の受刑者は刑務所内の生活の方が良いと感じ、戻ってくることが多いと認めた。
ニューマン氏は、万引きに対する刑罰は、刑務所に戻ろうとする常習犯を励ましていると疑っている。例えば200円のサンドイッチを盗んだ場合、最高840万円の罰金か2年の懲役刑になる。さらに日本の裁判所は万引きを撲滅するため、刑罰を徐々に重くしている。
退職者ビレッジ
ニューマン氏は、裁判所での訴訟手続や収監のために費用を使うより、大規模な「退職者ビレッジ」を作るべきと考えている。年金支給額を半分にする代わりに無料で寝泊まりし、さらに医療を無料で受けられる。
高齢者は退職者ビレッジでカラオケやゲームを楽しむことができ、比較的自由だ。ニューマン氏はこれらの費用を計算し、政府の現在の支出を大きく下回ることを明らかにした。
高田さんは、もう犯罪には手を染めたくないという。「もうすぐ70歳で、次はもっと年を取り体が弱くなる。もう同じことはできない」ところが今後どうするかについては、まだ決まっていないという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月20日