中日関係が好転も、自衛隊OBが妄言を吐く理由とは?

中日関係が好転も、自衛隊OBが妄言を吐く理由とは?。中日関係がいかに好転しようとも、日本国内の極右勢力に対する警戒を弱めてはならない。これは歴史の教訓だ…

タグ:極右勢力 戦争 内政

発信時間:2019-02-25 14:45:24 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本航空自衛隊OBの織田邦男氏はこのほど米メディアを通じ、いわゆる「中国侵略スケジュール表」を発表し物議をかもした。ところがこれは国内の学者が真っ先に環球時報のインタビューに応じた際に、「統一後の中国が他国の内政に干渉し、地域の平和を脅かすという憶測は、中国脅威論を喧伝する使い古しの表現に過ぎない」と指摘した通りだ。そのため織田氏の妄言が引き起こした「波乱」は世論レベルに留まっている。学者から見れば、この手の自己アピールじみた世迷い言は、日本の極右勢力の一貫した二番煎じに過ぎない。


 織田氏の発言は検証に耐えないが、歴史的な根源というものがある。戦後初期、日本では戦争を反省する声が中心的な地位を占めていた。ところが米国主導の戦後日本の改革が徹底していなかったため、極右勢力は国内で潜伏を続けた。1963−65年に渡り、『中央公論』が連載し一冊の本にまとめた『大東亜戦争肯定論』は、極右勢力による歴史修正の始まりとなった。


 侵略の歴史修正は日本の極右勢力の最終目的ではなく、「日本再武装」こそが彼らの頭を離れることのない願いだ。「日本再武装」の必要性を強調するため、「日本は常に外敵の侵略に直面している」という憶測が生まれた。日本の作家、森咏は1980年代に『日本封鎖』という有名なSF軍事小説を執筆した。本書は侵略された日本が粘り強く侵略者を打ち倒すストーリーだ。織田氏の現在の発言も、このような思想の延長線上にある。


 日本が侵略されるという筋書きが小説でも使い古されているというのに、なぜ今回はこれほど大きな騒ぎになったのだろうか。これは織田氏の空自OBという立場と強く関係している。さらに直接的に言えば、織田氏の考えが自衛隊高官の国際情勢に対する普遍的な認識であるか否か、ということだ。織田氏の考えが自衛隊を代表しているかについては、十分な証拠が不足している。


 日本国憲法第9条は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明文化している自衛隊そのものがグレーゾーンなのだ。そのため自衛隊の現役の高官が、国際情勢について軍として意見するのは極めて稀だ。しかし公開された一部の資料からは、不穏な傾向が見て取れる。例えば毎年発表される防衛白書は、日本周辺の安全情勢の不確実性を喧伝しているが、そこから全貌をうかがい知ることができるかもしれない。


 しかも自衛隊高官によるこのような極右的な傾向は、決して単独のケースではない。2008年には同じく空自高官の田母神俊雄氏が、「日本は侵略国ではない」「日本軍が皇姑屯事件(張作霖爆殺事件)に直接参与した証拠はない」「日本は蒋介石によって日中戦争に巻き込まれた被害者」といった、黒を白を言い張るような妄言を吐いた。


 なにはともあれ、田母神氏や織田氏のように公の場で極端な発言をする高官は日本ではまだ少数であるが、大きな悪影響を生んでいる。「中国大陸は2025年に台湾を併呑し、2045年に沖縄に侵略する」という織田氏の発言は、「小人の心で君子の腹を推し量る」憶測に満ちており、かつ日本の極右勢力の中国問題に関する間違った観点を示している。すなわち、一つの中国という原則の否定であり、そのため「台湾併呑」という言い方をしているのだ。台湾問題、領土問題、歴史認識問題は中日関係の支柱だ。両国が国交正常化してから、日本の歴代政権は一つの中国という原則を守ってきた。中日関係が好転するなか、日本の極右勢力がこのような発言をする意図は興味深い。


 織田氏の言行は再び、我々が日本と交流する際に「二分法」を用いる必要性を裏付けた。織田氏とその背後の極右勢力は現代日本の主流ではなく、我々は一部の極右勢力と圧倒的多数の平和を愛する日本人を同一視してはならない。彼らの言行によって中日関係の大局に影響が及べば、彼らの狙い通りになる。ところが逆に見ると、「二分法」を貫くことで、我々はより弁証法的に中日関係を認識する必要が出てくる。中日関係がいかに好転しようとも、日本国内の極右勢力に対する警戒を弱めてはならない。これは歴史の教訓だ。(筆者・李若愚 四川大学歴史文化学院副研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年2月25日

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