農業に先端技術を活用する「アグリテック」が中国で広がり始めた。ドローン大手の広州極飛科技は効率的に農薬を散布できる自動運転のドローンを開発し、普及を急ぐ。アリババ・グループは顔認証技術で養豚の効率化を進めるなど、各社の動きが活発だ。有力企業の技術参入が増えている。7日付日本経済新聞が伝えた。
極飛科技の龔檟欽・共同創業者は日本経済新聞のインタビューに対して、「先端技術やデータを使って農業を効率化し、種まきから収穫に至るまで農家の方々への負担を減らしたり、収穫時期などの意思決定を支援したりする仕組みをつくりたい」と話した。
同社は2007年に創業し、農業向けに開発したドローンに強みを持つ。農地の形状や風向きなどを考慮しながら、効率的に全自動で農薬散布ができるのが特長だ。
同社はこれまでに中国全土にある農機販売店など約1200社と手を組み、同販売店を通じて極飛科技のドローンを利用する農家を増やしている。契約農家はすでに120万戸を超える。さらに同社は、データビジネスによる農業の効率化を見据えている。
極飛科技のドローンは農薬散布をする際、作物や農地、周辺状況をくまなく撮影できる。極飛科技はその膨大な撮影データをもとに、農作物の生育状況などを人工知能(AI)を使って解析する。例えば、最適な収穫時期や農薬の種類を農家に対し助言するなどの事業化を予定する。
データ解析は、保有するデータ量が多いほど精度が上がる。龔氏は「1日2万人超のドローン利用者を持つのが当社の最大の強みだ。農家に依頼すれば、短時間で最新画像を数多く集められる」と話した。同社は事業化をにらみ、すでに「農地版グーグルマップ」ともいえる農地の状況を分かりやすく示すデジタル地図の作成にも着手した。
米投資会社アグファンダーによると、中国の農業・食品スタートアップ企業は2017年に18億ドルの資金調達に成功した。特にアリババ・グループ、テンセント、百度のネット3強からの資金調達額が全体の4割強を占め、高い成長性が期待されている。
アグリテックは有望市場とみて、大手企業はスタートアップに投資をするだけでなく自らも市場参入を果たしている。アリババ・グループや京東集団は養豚のデジタル化に熱心だ。両社はカメラによる顔認証技術を使い、ブタの顔色によって食事を与えたり制限したりするほか、運動量を調整して養豚の効率化を研究中。京東傘下の京東数字科技は昨年、飼料代などの養豚費用を30−50%減らしたとする成果を発表した。ファーウェイは小型のセンサーを土壌に埋め込み、塩分の多い農地を改良する新プロジェクトを進めている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月11日