日本の安倍晋三首相はこのほど、神奈川県でゴルフの練習に勤しむ姿をメディアから撮影された。1日後に米国のトランプ大統領が、新天皇即位後で初めて会談する外国首脳として国賓訪問するからだ。安倍氏とトランプ氏は「ゴルフ外交」を続け、相撲を共に観戦し、自衛隊の準空母「いずも」に乗艦する。「解放日報」が伝えた。
上海市日本学会長、上海国際問題研究院諮問委員会副主任の呉寄南氏は、「今回は活動が多く、格式が高い。米大統領による日本の国賓訪問は2014年ぶりで、日本の新天皇が即位後初めて国賓と会談することになる。これはトランプ氏にとって厚遇と言え、日本側の日米同盟への重視の度合いを示している。これは両国関係の特殊性と堅固さをアピールする外交ショーと言える」と指摘した。
呉氏はトランプ氏に次の3つの需要があると見ている。まず、2017年に就任した後の一連の「離脱」「条約破棄」による一国主義で、同盟国とライバルから不興を買っており、外交の成果が非常に乏しい。2020年の大統領選が今年下半期に始まるが、トランプ氏は今回の訪問で外交のポイントを稼ぎ、来年に向け駒を増やそうとしている可能性がある。
AP通信によると、来年の大統領選に向けた活動が活発化するなか、トランプ氏は大統領としての威光をアピールしようとしている。まず東京で4日滞在し、それから英国の女王との会談に向かい、さらに仏ノルマンディーとアイルランドを訪問する。一回りした後、再び日本でG20大阪サミットに出席し、ついでにソウルを訪れる。それからまたフランスに戻りG7首脳会議に出席する。米プリンストン大学歴史学教授は「この米国ファーストを掲げる大統領が外部の一連の課題(ベネズエラ、朝鮮、イラン)を迎え、米政府が緊張情勢(口座情報提供や弾劾などの雑音が絶えない)に陥るなか、この世界的なショーはある程度の効果を発揮できる」と述べた。
次に、昨年の安倍氏の訪中により中日関係に好転と改善、正しい軌道に戻る流れが生じている。ところがこれは米国が望まないことだ。トランプ氏の今回の訪問には、中日関係改善に際し日本をけん制する狙いがあるかもしれない。
それから、トランプ氏は日本から多くの経済の実益を手にしようとしている。日本に国の扉をさらに開くよう圧力をかけ、貿易面の需要を満たそうとしている。共同通信(電子版)は、トランプ氏が安倍氏からの招待に喜んで応じたのは、日本との貿易協定の早期締結を願っているからだと指摘した。
呉氏は安倍氏にも、多くの利益の目論見があると判断した。まず、安倍氏の「得票」の需要はトランプ氏よりも切実かもしれない。日本は今年7月に参院選を控えており、自民党は楽観を許されない状況だ。4月の統一地方選と衆院補選は「模擬試験」とされた。自民党は沖縄3区と大阪12区などの重要な「試験場」で惨敗した。そのため安倍氏は外交面の収穫を必要としている可能性がある。来日するトランプ氏をもてなし、日米関係の特殊な進展を示すことで、一定の効果を発揮できる。
次に、安倍氏も今回の訪問により、貿易面の圧力を和らげようとしている。両国は貿易交渉中であるが、地位は対等ではない。米国が攻勢で、日本が守勢だ。現在の状況はピンボールに例えられている。トランプ氏は米国の農産物に対する貿易の壁を取り払うよう求めているが、農産物は日本の農家の利益に直接関わる。彼らはどの政党も軽視できない集団だ。安倍氏がいかに圧力に耐えるかが注目されている。
米コラムニストは、米国は日本に豚肉や牛肉などの関税引き下げを求めていると指摘した。最近調印された貿易協定によると、日本はEUとCPTPPの11カ国に関税優遇を提供しているが、米国はその対象外になっている。ハガティ駐日米国大使は、米国は日本から同様の優遇を受けることを願っていると述べた。「トランプ氏は数週間内の合意を目指しているが、数カ月かかるかもしれない」これにより安倍氏はジレンマに陥っている。参院選が近づくなか、日本の農家は安倍氏が機嫌を損ねたくない、損ねることもできない集団だ。
米モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団の上席研究員は、両国関係の真の試練は現在行われている二国間貿易交渉だと指摘した。トランプ氏が日本車の関税を引き上げれば、日本経済の生命線を脅かす。米日同盟関係を日本に譲歩を迫る駒にすれば、日本に国家安全をいかに守るかという疑問を抱かせることになる。「こんな友人がいれば、敵を必要とする者はいるだろうか」ということだ。
呉氏は「今回の訪問は政治的に日米間の親密度をアピールすると同時に、貿易問題で調整しがたい食い違いを露呈することになる」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月24日