悠久の歴史を持つ中華文明は、日本を始めとするアジア諸国のみならず、古くはシルクロードを通じて西欧にも多くの影響を与え、人類文明の発展に貢献を果たしてきた。
中国が有史以来、途切れることなく豊かな文明を育み、発展させることができた理由はさまざまあるが、その中でも特筆すべきは、中華文明の持つ包摂性、交流と相互参考の精神である。自らの長所を伸ばすだけでなく、他者の良いところを謙虚に学んでこそ、文明はさらなる発展の原動力を得られるのだ。
今こそ注目すべき中日交流という歴史的遺産
アジア文明対話大会は、まさにそのような文明間の交流と相互参考の重要性を世界の人々が再認識するきっかけとなった。大会にはアジア47カ国、その他の国・地域から代表が集まり、むろん日本からの参加者も多数含まれている。
中国と日本は長きに渡る交流の歴史を持っている。この中日が共有する歴史的遺産に今こそ再び注目し、友好を発展させていくべきと語るのは、アジア文明対話大会における日本代表の一人、森ビル株式会社特別顧問の星屋秀幸さんだ。
星屋秀幸さん
「両国関係は国交正常化以来順調に発展してきましたけれども、途中さまざまな起伏もあったことは事実です。しかしながら、大局に立って2000年という両国の交流の歴史を見れば、日本と中国のように大半が友好的なお付き合いを継続できた関係というのは、世界に例がないものといえます。言うなれば、日本は中国の文化を歴史的に最も深く理解してきた国なのです。
例えば、日本は中国以外で唯一、今日においてなお漢字を使っている国です。さらに、日本は中国から漢字を学ぶだけでは飽き足らず、漢字をベースにひらがな、カタカナを発明し、かつそれでも足らなくて和製漢字や和製漢語まで生み出しています。特に和製漢語は明治時代に日本が西欧の学問を学ぶ過程で生まれたものが多いのですが、中国も日本で生まれた和製漢語を自国の言葉に積極的に取り入れ、今もなおいきづいています」
中日両国には相互に交流し、学び合う関係を伝統的に有している。ビジネス、そして民間交流を通じて中国の人々と深く触れ合ってきた星屋さんは、そのような両国が持つ歴史的結びつきの価値を誰よりも知る者といえるだろう。