日米関係には依然として大きな食い違いも
ところが「蜜月期」に入った日米関係には実質的な内容が伴わず、むしろ互いに需要があり相互利用する関係に近い。
現在のトランプ政権は、ファーウェイの5G締め出し、「インド太平洋戦略」の実施、中国との戦略的な競争など、日本の協力を必要とする部分が多い。安倍政権も同じように、朝鮮による拉致問題の解決、日露領土紛争など、米国の支援を必要とする部分がある。そのため「相互の需要」は安倍政権とトランプ政権の時代において、日米関係を維持する主な要素である。
そのほか、日米両国には食い違いがある。これは主に経済貿易面で示されている。来年11月の米大統領選が近づくなか、トランプ氏は政治の成績を一日も早く手にし、再任を果たす必要がある。対日貿易赤字問題はその主な成績の一つになる。トランプ氏は大統領選で日本を何度も攻撃しており、現在は大統領に就任したため日本を放任するはずがない。
しかし安倍政権は日米経済貿易問題で別の見方を持っている。トランプ氏が就任後、日本企業は米国で4万人分の雇用機会を創出しており、日本は米国車に関税をかけていない。むしろ米国が日本車に2.5%の関税をかけている。日米両国政府は経済貿易問題で大きな食い違いを残しており、現在の日米関係の最大の問題点になっている。日本メディアの報道によると、今回の日米首脳会談は共同声明の発表を見送る予定で、これは両国間に確かに大きな食い違いが存在することを説明している。
事実上、日米経済貿易問題は何も新しい問題ではなく、小泉政権とブッシュ政権の時代であっても日米の蜜月期は存在した。当時の日米政府の間には食い違いがあり、駆け引きが展開されていたが、経済貿易問題は日米関係のその他の分野に影響を及ぼさなかった。これにはさまざまな理由がある。例えばブッシュ政権は当時、日米経済貿易問題を主な問題とはせず、テロ対策を重視していた。
現在のトランプ政権は異なり、トランプ氏は貿易赤字問題を非常に重視している。トランプ氏の訪日前日、日米両国政府の代表者は貿易赤字問題について協議を続けたが、いかなる進展も得られなかった。これはこれから始まる日米首脳会談に暗い影を落とした。
日米経済貿易問題が十分に解消されなければ、日米関係のさらなる深化が妨げられる可能性がある。しかも経済貿易問題は日米のその他の分野の関係に影響を及ぼし、局部から全体に発展し日米関係に衝撃をもたらす。そのため安倍氏が現在アピールする日米の「蜜月期」は一種の幻想に過ぎず、日米関係が真の蜜月期を迎えるのは遠い先の話だ。(筆者・陳洋 日本問題学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年5月27日