中国と米国のテクノロジーをめぐる対立が激化しているが、それは80、90年代に米国が日本に仕掛けた貿易戦争と似通った点がある。これらの相似点を知ることもプラスになるだろう。しかし中国と日本の間に存在する差は、異なる結末を指し示すかもしれない。香港紙・南華早報が伝えた。
米日の貿易摩擦は50年代に始まった。当初は紡績品で、60年代には合成繊維と鉄鋼に、70−90年代にはテレビ、自動車、半導体産業に広がった。
日本の半導体産業は80年代前半、政府からの支援を受け米国を上回った。日本は世界最大の半導体供給国になった。米国は国家安全のリスク、その重要テクノロジー分野における競争力の低下を警戒し、不満を抱いた。当時のレーガン政権は日本を、米国にとって最大の経済的脅威と見なした。米国は日本が国を挙げて産業を支援し、米国から知的財産権を盗み、米国市場に製品を不当廉売していると批判した。
米国は日本企業が米国の技術を盗み、法に背き軍事的に敏感な製品をソ連に販売しているとして制裁を行った。米国はさらに日本に対して、その半導体技術を共有し、米国の半導体の購入を拡大する協定への署名を迫った。
匿名の中国政府当局者は「トランプ政権が現在中国に使用している手段は、80、90年代に日本に使った手段と完全に一致する」と述べた。
中国国際経済交流センターの張茉楠研究員(音訳)は米中の競争と対抗が沈静化することはないと判断した。「現在の米中の衝突は米日よりも複雑だ。米国の対中牽制は今後エスカレートするばかりだ。中米が貿易の緊張解消で合意したとしても、テクノロジーをめぐる競争が沈静化することはない」
日本は半導体の覇者としての地位を失うと、欧州と一連の科学技術協力協定に署名した。張氏は「ハイテクが国家安全戦略にとって重要であることは歴史が教えてくれる。これは単なる市場競争のプロセスではなく、弱肉強食の法則に従う」と指摘した。
中国人民大学の王義桅教授(国際関係学)は、中国は開放と同時に自国のテクノロジーの発展が必須だと述べた。「米国とテクノロジー及び軍民両用分野である程度断絶されるかもしれないが、中国は欧州諸国やイスラエルなどと協力することで米国からのリスクを相殺できる」
張氏は、当時の日本及び現在の中国に対する米国のテクノロジー発展の懸念には差が存在し、野心を叶えようとする中国が希望を手にするかもしれないと判断した。「日本は安全面で米国の保護に依存しており、米国からの攻勢に対処する能力が限られている。しかも当時の日本はすでに先進国だった」
「それと比べると、中国には巨大な国内市場があり、経済とテクノロジー発展の間の不均衡を解消する潜在力を持つ。これはグローバル企業にとって依然として魅力的だ」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月17日