米国とイランの対立は昨年5月よりエスカレートを続け、双方とも一歩も引かない姿勢を示している。米国はイランに極端な圧力をかけ、イランはこの圧力を各方面にそらし、イラン核合意を最後の駆け引きの道具にしている。
ロイター通信の11日の報道によると、イランは濃縮ウランの生産を加速しており、その生産量は従来を上回っている。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は本件について、核問題のエスカレートに関する懸念を示し、対話により危機を解消するよう各国に呼びかけた。
共同通信によると、日本の安倍晋三首相は12−14日にかけてイランを訪問し、ロウハニ大統領と首脳会談を開いた。安倍氏は米国とイランの対話の架け橋になると対外的にアピールした。安倍氏がこの訪問で緊張情勢を和らげられるかが、国際メディアの注目の焦点になった。
二重の役割、日本には日本の計算も
米国とイランの多くの「調停者」の一人である日本には、どのような特殊な点があるのだろうか。中国社会科学院日本研究所外交研究室の呂耀東主任は「日本の独自性は、他国との政治交流を経済的な利益に利用している点にある。日本には二重の役割がある。日本とイランには共通の経済的利益があり、長期的にエネルギー協力を行ってきた。これは日本の経済的な役割だ。同時に日本は米国と緊密な同盟関係を結んでおり、その外交の基本は日米関係を基礎とする。ドイツと比べると日本はトランプ氏の理念をより正確に表現できる。これが日本の政治的な役割だ」と分析した。
安倍氏がイランを訪問するという情報が伝わると、メディアは日本人首相の41年ぶりの歴史的な訪問になると判断した。米CNBCは、日本とイランは関係が良好だが、両国の首脳会談は異例だと伝えた。ところが専門家は、安倍氏の訪問は偶然に見えるが実際には必然的だったと分析した。
寧夏大学中国アラブ諸国研究院長、中国中東学会副会長の李紹先氏は本紙のインタビューに応じた際に「日本はエネルギーが不足しており、石油の9割弱を湾岸地域から仕入れている。中東情勢の緊張により石油価格が変動し、日本経済に大きな影響を及ぼしている。安倍氏は当初よりイラン訪問に意欲的だったが、米国とイランの衝突により実現しなかった。今回はトランプ氏が積極的な反応を示し、安倍氏が願いを叶えることになった」と述べた。
共同通信によると、トランプ氏は5月下旬に訪日した際に、安倍氏のテヘラン訪問への支持を表明していた。また安倍氏はイラン訪問前の11日にトランプ氏と電話会議を開いていた。これは安倍氏がイランの「調停」に行く許可を米国から得ようとしたとされている。
安倍氏は米国と足並みを揃えているように見えるが、自分の計算もあった。李氏は「日本には投機的な狙いがあった。安倍氏はトランプ氏と会談した後イランを訪問し、それからG20サミットで再びトランプ氏と顔を合わせる。これにより米国とイランの間における日本の重要な力を浮き彫りにし、国際事業における影響力をアピールし、政治大国の地位を手にする。またイラン核合意後、イランは21世紀の最も開発の潜在力を秘めた3カ国の一つとされた。イランは一時、大きなパイとされた。世界3位の経済国である日本が、この未開発の市場を重視しないはずがなく、一定の経済的利益を手にしようとするに違いない」と指摘した。