環球時報の記者はこのほど中米貿易の一連の問題について、東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授の独占インタビューを行った。米政府のファーウェイ(華為)に対する一方的な制裁措置が日本企業にどのような影響を及ぼすかという問題について、丸川氏は次のような見解を示した。
日本企業がファーウェイのスマホなどに提供する部品は年々増加しており、日本企業は昨年ファーウェイに約7000億円の製品を販売した。今年は8000億円を上回る見通しだ。ファーウェイの生産が減少すれば、日本が生産する多くの部品の輸出に影響する。
米国政府がファーウェイに圧力をかけることで、日本に次の2つの影響が生じる。まず、日本企業の多くがファーウェイのサプライヤーで、その中にはソニー、パナソニック、東芝、村田製作所などの大企業が含まれる。米商務省は今年5月にファーウェイを安全に懸念があるとして「エンティティリスト」に入れた。外国企業が米国の部品、材料、ソフトなどを使い製品を製造し、これをファーウェイに売却しただけでも米国から制裁を受ける。5月23日に生じたパナソニックの事件は、日本企業の苦境を浮き彫りにした。日本メディアは同日午前、パナソニックがファーウェイへの供給を一時停止すると報じた。パナソニック中国法人は同日昼頃になりネット上で厳正なる声明を発表し、ファーウェイへの供給は正常であり、いわゆる「供給停止」などは不適切であるとした。
次に、米政府は同盟国に対して、通信ネットワークなどにファーウェイなどの中国製品を用いないよう求めている。日本政府は昨年12月に通知を出し、政府各部門に通信設備を購入時に「情報安全に注意」するよう求めた。また民間のモバイル通信や送電などの重要インフラ企業に情報安全への注意を求めた。日本メディアはこれらの要求を、日本政府によるファーウェイやZTEなどの中国製品の排斥だと解釈した。ソフトバンクは、4G・5Gネットワークにファーウェイ製品を使用しないと表明した。ドコモとauもファーウェイやZTEの製品を使用していない。
ファーウェイは世界トップの5G製品サプライヤーであるが、日本の通信キャリアはそれを理解しているため、5Gネットワーク実験などの準備作業を共同で行ったことがある。最終的にはさまざまな要因によりファーウェイやZTEの製品を使用できなくなったが、これは各社にとって大きな損失であり、日本の5G事業展開にとっても大きな障害となっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月28日