領有権問題、日露はなぜ再び対立したのか

領有権問題、日露はなぜ再び対立したのか。日本はなぜG20サミットの会期中に、領土問題をめぐりロシアと対立しようとしたのだろうか。これには多くの原因がある…

タグ:ロシア 大阪 サミット 領土 G20

発信時間:2019-07-09 13:37:07 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ロシア外務省のザハロワ報道官は先ほど、「日本が6月末に開いたG20大阪サミットの資料の中で、南クリル諸島が日本領と表記されていたが、これは議長国としての職権濫用に当たる。ロシア外務省は本件について日本側に抗議した」と述べた。(筆者・鄭潔嵐 上海外国語大学ロシア・東欧・中央アジア学院)


 「北方四島」問題は常に露日関係における最も重要な問題だ。これらの島は戦前は日本領だったが、戦後はソ連領になり、ソ連解体後はロシアに実効支配されている。四島の領有権をめぐり露日双方の主張が食い違い、対立が続いている。そのため両国は現在も平和条約を結んでいない。安倍氏は首相就任後、ロシアとの平和交渉に取り組み、対露経済協力を通じ日露関係を改善し、領土問題を解決しようとしてきた。ところが双方は現在も合意に至っていない。


 日本はなぜG20サミットの会期中に、領土問題をめぐりロシアと対立しようとしたのだろうか。これには多くの原因がある。


 まず、G20サミットは今回初めて日本で開催された。これは日本にとって重要な多国間外交活動であり、重要なホスト国外交活動だった。安倍氏はこれまで、任期内に北方四島の領有権という日本を70年以上も苦しめてきた難題を解消することで、自身のレガシーを作りたいと表明してきた。そのためこの重要なホスト国外交の場で使用する資料に日本領と表記することは、不可欠な立場表明と決意宣言だった。


 次に、G20の前身はG8で、さらに昔に遡るならばG7だ。ロシアは1997年に正式に加盟国になり、G8が誕生した。2014年3月にはクリミアで住民投票が行われ、新たな連邦主体としてロシア連邦に編入されることになった。G7首脳は住民投票の結果を認めないとし、ロシアをG8から締め出した。その後米国を中心とする西側諸国はロシアに度重なる制裁を行い、現在も解除していない。そのため日本はこのような場において、ロシアとの係争で強硬な立場を示し、「西側陣営に加わる」姿勢をアピールした。


 それから、米日同盟関係という後ろ盾があった。トランプ大統領は5月末に訪日した際に、安倍氏と日本の大型準空母に乗艦し、自衛隊と米海軍を激励した。日本の海上自衛隊はさらに6月上旬、米海軍と合同演習を行った。日本は米国製のF-35ステルス戦闘機を105機調達し、米国の同盟国のうち最大のF-35部隊を作ると表明した。トランプ氏は米日安保条約が米国にとって不公平であり過度な負担がかかっていると何度も表明しているが、最近の米日両国による一連の行動は堅固な米日同盟関係をアピールした。同盟国である米国からの応援を受け、日本はロシアに直接牙をむく勇気を手にした。


 ロシアにとって、北方四島は東は太平洋、北はオホーツク海に面しており、東から北太平洋に出入りするための戦略的な航路であり、重要な地政学的価値を持つ。これらの島を米国の同盟国である日本に譲り渡せば、米海軍は自由にロシアの裏庭に出入りできるようになる。これは米露の駆け引きが激化を続ける今日において、ロシアが受け入れられないことであり、そのためこれらの島を軽率に手放すことはない。北方四島問題は日露関係における難題であり、一朝一夕で適切に解決されることはない。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月9日

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