日本の佐藤亮一、『紅楼夢』の林語堂英訳版を日本語に翻訳出版

日本の佐藤亮一、『紅楼夢』の林語堂英訳版を日本語に翻訳出版。

タグ:林語堂 『紅楼夢』

発信時間:2019-07-15 11:31:09 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

筆者:王暁輝・中国網編集長

 

 『光明日報』は2015年7月に、「『紅楼夢』の林語堂氏英訳版、日本で原稿が発見」と題した記事を掲載した。この報道は直ちに「紅学界」及び翻訳界から広く注目された。ところで林語堂氏は本当に『紅楼夢』を翻訳したことがあるのだろうか。


 南開大学の『紅楼夢』日本語訳を研究する博士が2014年、資料に当たったところ、日本人翻訳家の佐藤亮一氏が1973年、林語堂氏から送られた『紅楼夢』英訳版の原稿を受け取り、数カ月後にまた訂正稿を受け取ったことが分かった。佐藤亮一氏は林語堂氏の英訳版を日本語に翻訳し、1983年に日本で出版した。


 この手がかりを得た南開大学の博士は紆余曲折を経て、ついに日本の図書館でこの貴重な原稿を目にした。これには林語堂氏の解説、序章、64章の訳文が含まれる。林語堂氏の英訳は完全版ではなく、全120回の一部抜粋だった。


 原稿はタイプライターで片面に打たれたもので、全859ページ(厚さ約9センチ)。林語堂氏は各時期に黒・青・赤で原稿に多くの修正メモを記しており、英文手書きが2ページ含まれる。原稿の1ページ目は『紅楼夢』の署名「The Red Chamber Dream」で、その下には「A Novel of a Chinese Family(ある中国の家族の小説)」というサブタイトルがある。また「By Tsao Hsueh-chin(曹雪芹著)」「Translated and Edited by Lin Yutang(林語堂訳、編集)」と記されている。


 林語堂氏が『紅楼夢』を翻訳しながら自分で出さず、回り道をして日本人学者によって日本語訳で出されたのはなぜだろうか。林語堂氏と佐藤亮一氏はどちらも故人であり、彼らの当時の考えや約束を知ることはできない。ただし林語堂氏が『紅楼夢』を終生愛し、最も大きな影響を受けた作家が曹雪芹氏であることは間違いない。


 『My Country and My People(『吾国吾民』)』の中で、林語堂氏は外国の読者に『紅楼夢』をこのように紹介している。


 林語堂氏によると、『紅楼夢』は人物が活き活きとしており、深く豊かな人間性を示している。さらに美しい風格と感動的な物語が加わり、世界トップクラスの称号にふさわしい。


 林語堂氏は『紅楼夢』の研究に力を入れたことがある。1943年に出版された『無所不談合集』の中で、『紅楼夢』について12篇で論じている(「説晴雯的頭髪兼論紅楼夢後四十回」「続論紅楼後四十回問題」など)。また林語堂氏は林黛玉の「葬花吟」を翻訳し発表している。これらは林語堂氏の『紅楼夢』の翻訳に向けた準備だろう。


 林語堂氏による『紅楼夢』の手書きの訳文は一大発見であり、林語堂氏の訳文を出版することができれば翻訳界にとって喜ばしいことだ。筆者は林語堂氏の翻訳をこよなく愛する。行雲流水のような転換、軽快なタッチ、聡明でユーモアあふれる言葉。『吾国吾民』を読み、『水滸伝』が「All Men Are Brothers」と訳されているのを見るたび笑いがこみ上げる。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月15日

 

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