日韓貿易摩擦がエスカレートを続けている。日本の態度が強硬であることから、短期間内の解決は難しそうだ。今回の摩擦は中国と関係しないが、半導体材料の発展や科学技術産業の競争などについて、少なくとも次の2つの問題に注目すべきだろう。
まず、日本の半導体材料などの中間製品(最終製品の生産に必要な部品や原材料)が世界市場で高いシェアを占め、「ほぼ1社」とも呼べる9割以上に達しているものもあるが、その競争力はどこから来るのだろうか。次に、中国の部品技術などのハイテク分野における日本との協力をどのように見るべきだろうか。
日本の「目に見えない」強み
日本は長年に渡り、パソコンやビデオテープレコーダーなど多くの最終電子製品の世界トップの生産国として注目されてきたが、多くの重要部品及び原材料などの中間製品の最大の供給国でもあることは見落とされてきた。日本の工業製品の輸出のうち、耐久消費財の割合は20%未満で、生産材料製品が80%を占めている。ハイテク・高付加価値の機械、部品、原材料、中間製品、機械設備の「世界的な供給拠点」になっている。
最終電子製品の更新が続くなか、その内部の部品や原材料の技術は比較的安定している。例えばビデオテープレコーダーは過去のものになったが、当時その重要部品であった精密ベアリングは現在もミサイルを含む多くの最終製品の重要部品となっている。精密ベアリングの技術水準が最も高いのは日本、スウェーデン、ドイツなど。
日本の部品の技術力が高いのは、「他国に真似できない製品」の開発と製造を志す企業があるからだ。特に秀でた技を持つ多くの中小企業は、数十年さらには数世代に渡り特定の専門技術を磨き続けている。統計データによると、2015年現在の創業150年以上の日本企業は2万1666社だが、中国は100社未満。ある学者が、日本の従業員が十数人、もしくは数十人しかいない零細企業を数十社挙げたところ、その小型精密電子部品の世界シェアが50%以上に達した。
日本の部品技術が高いのは、優れた工作機械製造業という後ろ盾があるからだ。超高精度工作機械と材料学は「工業の母」と呼ばれている。工作機械の現在の世界トップ3は、日本、ドイツ、スイスだ。一部の国は日本の工作機械技術を利用するため、生産拠点を日本に移している。米国が最先端のF-22戦闘機を生産するためには、新日本工機の5軸加工機が必要だ。
中日の協力、新たなモデルを示す
韓国企業が半導体材料によって日本から首を絞められている現在、中国も同じ状況に直面するのではと懸念する声が出ている。グローバル化が進む今日、私たちは自国の科学技術力を高めると同時に、協力を拒むべきではない。中日の科学技術協力は現在、「日本の新技術+中国の新市場」、それから「中国の資金+日本の中小企業」という2つの新たなモデルを示している。これには注意が必要だ。