「日本の新技術+中国の新市場」というモデルの典型的な例となるのは、いかに日本の水素自動車を中国で急成長する新エネ車市場と結びつけるべきかだ。例えば日本のトヨタ自動車の水素自動車「MIRAI」は、3分間の水素充填で500キロ走行できる。この水素自動車は日本で量産化されている。開発費が膨らんだため、価格は人民元で1台あたり46万元ほどと割高だ。中日が協力し水素自動車の実用化を推進し、中国の新エネ車市場の急成長の流れ(2025年に販売台数が700万台を突破する見通し)に乗れば、販売価格を引き下げることが可能になり、2025年より大衆的な新型交通ツールになるだろう。中国の一般的な電気自動車(EV)のバッテリーは鉛蓄電池で、一部のやや小型のEVはリチウム電池を使用している。大量の電池が廃棄されることで深刻な環境汚染が生じ、環境保護の趣旨に反することが多くの専門家から懸念されている。そのため水素自動車の実用化の加速が、生態環境を保護する上で必要になっている。
「中国の資金+日本の中小企業」というモデルは、中日科学技術協力の新しいモデルと言うべきだ。日本には倦むことなく長期的に一芸を磨き続けてきた多くの中小製造メーカーがあるが、少子高齢化の進行により後継者不足と販売低迷に悩む中小企業が増えている。中国の資金が近年、経営困難で倒産の危機に瀕した日本の中小企業に流れ込んでいる。一部の買収された中小企業はアジアで販売チャネルを構築し、経営再建に成功している。
1960年代から始まる中国と日本の科学技術協力には、数十年の歴史がある。私たちは過去の両国の科学技術協力の経験・教訓・人脈を活用し、今後の協力をより良くするため取り組むべきだ。(筆者・馮昭奎 中国社会科学院名誉学部委員、日本研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月27日