韓国政府は12日、日本を「ホワイト国」から除外する方針を固め、9月より実施するとした。これは日本による一連の対韓輸出規制への対策であり、日韓貿易摩擦のさらなるエスカレートが不可避だ。
日韓貿易摩擦は近年の両国関係の持続的な悪化による結果だ。両国関係の悪化は慰安婦、強制徴用工などの歴史問題の影響があり、朝鮮の核問題の重大な転機、日韓の外交の駆け引き、米国のアジア太平洋同盟政策の調整などの深い要素が相互作用した結果でもある。
米国のアジア太平洋同盟国に対する政策の調整も、日韓関係の動向に影響を及ぼした。トランプ政権は「米国ファースト」の政策を推進し、二国間・多国間同盟を重視していない。米国自身の軍事・経済・外交手段による対中けん制を強調しており、同盟国との協力に過度な経費・精力を費やそうとしていない。日韓の一連の緊張に対して、米国は静観する態度を維持しており、日韓の対立をさらにエスカレートさせている。日本が対韓輸出規制の強化を開始すると、トランプ氏はツイッターで、日韓から同時に調停の要請がなければ介入しないと表明した。また自ら日韓の対立に介入することもないとした。ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ポンペオ国務長官も先ほど東アジアを歴訪した際に、日韓の対立の調停に積極的な姿勢を示さなかった。
米国の実力が相対的に低下し、同盟国に積極的に負担を転嫁し、日韓などの同盟国の心が離れていった。これにより米国の日韓関係に対するコントロールが弱まった。トランプ氏は日韓により多くの防衛責任と軍事費の負担を求め、さらには米軍撤退という脅しにより防衛費の分担を増やすよう求めている。ボルトン氏は韓国を訪問した際に、軍事費を従来の5倍となる5兆円に引き上げるよう求めた。さらにトランプ政権は経済面で保護貿易主義を掲げ、日韓などの同盟国に対して貿易制裁を行うと脅迫し、米国に対する大量の貿易黒字の解消と市場開放を求めている。トランプ政権の同盟国政策は、日韓の米国に対する懸念を拡大している。日韓はより自主的で独立した政策を求めようとしている。米日・米韓同盟の溝が同時に深まり、日韓間の団結力を弱めている。
上述した影響により、日韓関係の悪化が続いている。貿易摩擦が長期化すれば、日韓の経済に衝撃をもたらす。さらに日韓が世界の圧倒的多数の半導体部品及び関連材料の生産を独占していることから、世界の電子産業及び経済への影響もあなどれない。日韓関係の持続的な悪化は、複雑な地域情勢にさらなる不安定要素をもたらし、東アジア諸国が積極的に推進中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、中日韓自由貿易区などの多国間メカニズムの構築を妨げる。地域の平和と発展に悪影響をもたらす。
対立の中心となっている歴史問題で、日韓が譲歩することはない。地域構造における競争も不可避だ。日韓の対立が続き、短期間内の解決が困難だ。しかし日韓が互いに第3位の貿易相手国であり、産業チェーンが行動に融合しており、貿易摩擦がどちらにとっても有害無益であるため、日韓の全面的な対抗が生じる可能性も低いことに注意が必要だ。米国も日韓関係がアジア太平洋の同盟構造を破壊することを許さず、必要であれば阻止と干渉に乗り出す。両国関係のコントロールを完全に喪失させることはない。
脱グローバル化と一国主義が横行し、世界経済の低迷のリスクが拡大するなか、日韓は自由貿易の保護者、米国の保護貿易主義の被害者として一日も早く対立を解消し、多国間主義と自由貿易の発展の流れを守るべきだ。(筆者・劉栄栄 山東大学外国語学院研究員補佐、山東大学中日韓協力研究センター研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年8月18日