日本の文部科学省が先ほど発表した調査結果によると、主要7カ国のうち博士号取得者が減少傾向を示しているのは日本のみとなっている。また高品質論文の発表量のランキングも低下している。
日本の博士号取得者はなぜ減少しているのだろうか。これは人口減、景気低迷と関連しており、同時に大学改革などの制度的な問題の影響も受けている。日本の人口は2008年よりマイナス成長を開始しており、ほぼ同じ時期に博士号取得者の減少が始まった。双方には直接的な関連性はないが、人口は確かな基礎だ。日本経済の相対的な衰退を考えると、日本政府の教育事業への熱意と意欲は20年前を大きく下回る。日本の大多数の大学生にとって、院卒は最優先の選択肢ではない。大多数の日本企業は、需要がなければ高学歴の卒業生を雇いたがらない。これは博士号取得者の就職先を大きく狭めている。
21世紀に入ると、日本の大学教育は複数の重大改革を経た。特に2004年の大学法人化改革により、日本の国立大学が政府財政から直接得られる経費が激減した。さらに日本政府からの運営費交付金は毎年1%のペースで年々減少している。これを補う形で、研究経費と特別予算経費が支給されている。経費の出処が不安定で、大学教員の雇用が不確実になっている。真っ先に影響を被っているのは若手の学者だ。これは日本の博士号取得者を減少させる直接的な誘因だ。科学研究に必死に取り組んでも、安定的な教員のポストが見つからない。これは日本の学術研究の現実だ。
絶対的な研究者数の減少、科学研究経費の不足などの問題に直面した日本政府も、積極的な試みを行っていないわけではない。国際化は積極的な措置だ。日本の公立・私立大学は留学生の募集拡大に取り組んでいる。日本の博士号取得者は過去10年間で全体的に減少しているが、留学生の数は倍増している。留学生は博士号取得者の減少をある程度相殺しているが、博士号取得後に日本で教員のポストを獲得する、もしくは母国で教育・研究に従事するかのどちらかを選択しなければならない。留学生の大多数は後者を選んでいる。文部科学省は「スーパーグローバル大学」、「グローバル30」(2020年に留学生を30万人集める計画)などの措置を打ち出しているが、留学生の質が不揃い、英語教育の効果が今ひとつといった問題がある。21世紀のトップクラスのグローバル大学を養成するため、日本政府は2016年に「指定国立大学法人制度」を制定した。現在は東京大学、京都大学、東北大学、東京工業大学、名古屋大学、大阪大学が指定されている。これらの大学は募集規模、教員の待遇、国際協力などの面で特別措置を受け、日本政府の「科学技術立国」という国策に貢献する。
構造問題を解消できなければ、制度面で防ぎ止め、挽回しなければならない。日本は技術の研究開発や高等教育の分野で依然として高い地位を占めているが、今やこれは追い抜かされようとしているか、追い抜かされつつある。中国の場合は、大学及び院生の募集規模がほぼ飽和しており、人口、特に20歳以下の人口が減少する可能性があり、高品質かつ効果的な教育資源の確保に注意が必要だ。また応用研究は直接的な経済効果を生むが、基礎研究が「バラスト」であることにも注意しなければならない。「産学研」をいかに効果的に結びつけ、共に推し進めるべきか。これは日本を悩ませ続けている問題だが、現在の中国でも効果的に解消されていない。(筆者・王広涛 復旦大学日本研究センター副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年8月18日