日本の破産法は法人及び企業、さらに個人にも適用される。
法人及び企業と個人の最大の差はこうだ。法人及び企業が破産した場合、法人及び企業は消滅する。ところが個人が破産した場合、債務者が消滅することはない。
そのため個人が破産した場合、債務者の破産後の生活に配慮し、免責制度が設けられている。
債務者の自然人が自己の収入と全財産で債務を返済できなくなった場合、裁判所に自己破産を申請できる。裁判所は審査を行い、法に基づき自己破産手続きに入るべきかを判断する。
自己破産手続きが始まれば、債務者の全財産が管理に委ねられ、競売で現金化される。さらに負債の割合に基づき分配・清算される。ここでの財産には、不動産、自動車、現金、預金、ローン、保険解約返戻金、将来的に受け取れる退職金などすべての価値あるものが含まれる。
通常は破産手続き後、破産者は生活必需品を除き、時価20万円以上の財産、99万円以上の現金を持てない。
破産手続きには一定の費用がかかる。破産者の財産が足りなければ、裁判所は破産手続きの決定を宣言すると同時に、破産手続きの廃止を宣言しなければならない。裁判所はその後、破産者の債務免責問題について審査する。
裁判所が発表した破産手続き開始の決定に基づき、債務者は破産者として官報に記載される。破産手続き中、破産者は多くの資格が制限される。弁護士、税務代理、不動産取引代理人、保険代理人、警備など特定の資格が必要な職業の場合、資格の制限を受ける。しかし戸籍謄本と住民票に記載されることはない。家族が保証人でなければ、家族への影響もない。破産者はさらに5−10年内に、貸付と借金の資格も制限される。
1952年前であれば、日本の破産法関連の立法は非免責主義だった。1952年より米国の法律の影響を受け、破産法の改正時に免責主義が導入された。自己破産については、破産者の財産の清算のほか、破産者に新たな人生を歩ませる法律の精神を導入した。
これにより苦境に陥り生活を維持できなくなった正直な債務者が、自己破産により免責されることになった。破産により返済できない負債が帳消しになり、破産者は一から人生を開始できるようになる。
個人の破産者に対する破産法の免責は、正直な債務者への法的救済だ。返済できなかった債務を免除するのは、正直な破産者に新たに人生を歩ませるためだ。同時に債務者が悪意を持ち資産を隠し、借金取りから逃れ、極端な行動に出ることを防止できる。そのため免責の制度設計は、公共の福祉を考えたものでもある。
かつて、破産者が破産申請を行う際に最も重視したのは、裁判所による破産手続きの決定や、破産手続きの廃止の宣言ではなく、その後の「免責決定」だった。免責は破産手続き開始の必然的な結果ではない。破産者が破産申請前もしくは破産手続き中に、債権者の利益を損ねることを目的とし債権者に分配される財産を隠蔽した場合、裁判所が免責を拒否する理由になる。
例えば破産申請前に先に離婚し、婚姻関係の存続期間中に生じた財産のうち2分の1以上を前妻の名義に書き換えた場合は、財産の隠蔽としてみなされる。債権者はこれに対して詐欺行為取消権を持つ。同時に破産財産管理人はさらに強い拒否権を持ち、書き換えられた財産を取り戻すことができる。同じく、債務者が第3者に基準以上の贈与を行ったり、賠償金を支払った場合も取り戻され、精算対象の財産とされる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年8月20日