少子高齢化問題が深刻な日本は、子供を作れば得をするという新たな国策を打ち出した。日本の首相は先ほど、今年10月より3−5歳の児童の保育園及び幼稚園のすべての費用を免除し、かつ中学卒業までの学費と医療費を完全に免除すると宣言した。また政府は毎月、年齢に応じた児童手当を支給している。この子育て世帯を対象とした社会の福利政策は、多くの人から注目されている。
日本の少子高齢化問題は1970年代に始まり、長期化し問題が蓄積している。少子化には2つの意味がある。まずは出生の少子化で、出生率が人口の維持に必要とされる水準を下回り、低下を続けている。次に人口の少子化で、0−14歳の児童の人口が占める割合が低下している。そこで日本は一連の対策を講じた。さまざまな措置を打ち出したが、出生率を高める効果はそれほど大きくない。これは日本が低出生率の罠に陥ったためだろう。人々のライフスタイル、働き方、子育ての方法が伝統的な社会と大きく異なり、子育ての負担が耐えられないほど重くなっている。子作りを望まず、子供を作れないという現象が普遍的になっている。
ある社会の0−14歳の人口が占める割合が15−18%であると「深刻な少子化」で、15%を切ると「超少子化」となる。現在の日本は15%未満で、「超少子化」段階に入っている。日本政府は低出生率に苦しむ国と地域に教訓と経験をもたらした。教訓とは、低出生率を放任すればそれが強化され定着することに気づかず、児童と家庭に友好的な社会環境を構築することが遅れ、低出生率の危機を切り抜けるタイミングを逃したということだ。中国はこれを戒めとし、低出生率のリスクを予防する総合的な措置を講じるべきだ。日本政府の経験とは、現代の子育てが将来を見据えた経済行為である以上、家庭の子育てコストの一部の社会化が、低出生率の苦境を乗り切るため避けては通れない道であるということだ。政府の責任は子育てのソフト・ハード面の条件をすべて揃え、子育てに優しい環境と政策を作り、若者が生育を恐れないようにすることで、子供の成長に適した社会環境を整えることだ。子供を作るか作らないかは個人の自由だ。
データによると、中国の少子化も急激に進行中で、現在すでに「深刻な少子化」の発展段階に入っている。0−14歳の児童が人口に占める割合は1982年の33.6%から2010年の16.6%に低下した。持続する低出生率のリスクと少子化の課題に積極的に対応しなければならない。中国の子育て世帯支援制度は現在大きく不足しており、低出生率・少子化時代に適した社会福利体制を再構築する必要がある。言い換えるならば、政府が子育てのサービスとサポートを提供し、家庭が子育ての方針とプロセスを担当する。各自が子育ての公権と私権の責任を担う。これは低出生率の時代に子育てを奨励する正しい手段だ。(筆者・穆光宗 北京大学人口研究所教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年9月13日