小林正弘氏:中国の新型コロナウィルスの対策について思うこと

小林正弘氏:中国の新型コロナウィルスの対策について思うこと。新型コロナウィルスの感染者数が急速に増加する中で、常に私の心から離れないのは、多くの感染された方々、武漢にいる友人、ウィルス感染が深刻な地域の第一線で不眠不休で奮闘する医療関係者の方々の健康の問題です…

タグ:武漢 肺炎 感染症 対策 

発信時間:2020-02-11 15:44:54 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 新型コロナウイルス肺炎の対策に取り組んでいる中国は、多くの外国から感染対策物資やその他の援助を提供していただき、多数の国際友人から暖かい慰問の意をいただいています。北京在住の会社員・小林正弘氏も原稿を寄せ、エールを送ってくださいました。


文=小林正弘 清華大学法学博士

 

 今、私は刻々と変化する新型コロナウィルスの状況に注意を払いながら中国人の妻と北京の自宅にこもってこの原稿を書いています。4歳になる娘は、幼稚園の再開の見通しがつかず、かりに再開したとしても、幼稚園内での感染リスクがあり、私と妻の在宅勤務が解除された場合に子供の面倒を見ることが困難になることも予想されるため、妻の両親の所に預けています。私の住む小区でも居住者以外の出入りは禁止され、厳格な管理がされています。市内では人通りが極めて少なく、秩序の保たれた状態となっています。ここまで徹底した管理が行われても社会全体がパニックに陥らないのは、政府ならび市民に2003年のSARSの経験が活かされているからだと感じます。私の手元にマスクは多くありませんが、食料品を購入する場合には携帯アプリ(盒马鲜生)で注文を行うことで、小区のゲートまで届けてもらえるため、マスクの使用量を最小限におさえることができています。

 

 新型コロナウィルスの感染者数が急速に増加する中で、常に私の心から離れないのは、多くの感染された方々、武漢にいる友人、ウィルス感染が深刻な地域の第一線で不眠不休で奮闘する医療関係者の方々の健康の問題です。日夜、献身的にウィルス感染防止作業に取り組む方々へ深い感謝と敬意の念を抱くと共に、ここに不幸にも亡くなられた多くの方々とそのご家族へ心からの哀悼と追善の祈りを捧げます。

 

 武漢では10日間という驚異的な速さで5Gを完備し遠隔治療も可能な感染病専用隔離式病院が建設され、何千人もの医療関係者が武漢へ到着し、海外からも救援物資が届けられています。そして、現地の医療関係者をサポートするため、民間の飲食店は無料で弁当を届けたり、大手タクシー配車会社「滴滴」は無料の送迎サービスを提供するなど、政府、市民、企業が一丸となり過酷な救援活動が行われています。このような中、「果たして自分は新型コロナウィルス拡大を防ぐために何か出来ることはないか」と自問する日々を過ごしています。支援物資を届けようとしても、もう日本ではどこの店でもマスクはほぼ売り切れています。仮にマスクが手に入ったとしても中国への航空便の激減と中国向け郵便物の激増により、物流が一時的に停止しており、個人的な支援物資はいつ中国に届くのか見通しがつかない状況です。

 

 このような情況を私の母親(日本在住)に伝えたところ、母は「マスクが手に入らないなら自分で作ればいいでしょ」とアドバイスをくれました。母の周りでは、すでに沢山の友人が自分でマスクを作っています。マスクがないと言ってパニックになるのではなく、知恵を働かせて困難を乗り切ることが大切だと気づかされました。

 

 日本の専門家の話を総合すると、実際のところウィルスの粒子は通常のドラッグストアで販売しているマスクのフィルターよりも小さく、素通りしてしまうため防御効果は高くなく、N95などの防塵対応マスクでも完全に防御することはできないようです。そして、咳をする人などが唾をまき散らすことによる飛沫感染を抑えるためにマスクを着用することは必須ですが、マスクによる防止効果を過信しすぎず、手洗いや咳をする際に腕で口と鼻を覆うなどの咳エチケットを徹底することのほうがより重要だと強調しています。咳をする際に両手で口と鼻を覆うと、その手には「ウィルスを含んだ唾液」が大量に付着し、その手で、ドアノブ・エレベーターのボタン・地下鉄の吊革・手すりに触れば、ウィルスは周囲の人々へどんどん広がっていきます。そうなると、いくら医療物資を投入してもベットを用意しても足りないと思います。

 

 今、自分にできること、それはいたずらに新型コロナウィルスに恐怖心を持ち、パニックに陥り、過剰に反応をすることではなく、新型コロナウィルスに対する正しい理解に基づき、適切な方法で感染防止を徹底し、自分自身が決してウィルスの運び屋・感染源とならないこと、それによって感染を拡大させないことだと思います。今は、国籍を問わず、中国で生活するすべての人々が、まずは自分自身について責任ある感染防止策を徹底することが求められていると思います。それが、自分の家族、同僚、そしてより多くの人々を守ることに必ず繋がると信じます。

 

 かつて牧口常三郎氏(教育学者、創価学会初代会長)は、世界は「軍事的競争」「政治的競争」「経済的競争」の時代から「人道的競争」の時代に移らなければならないと訴えました。新型コロナウィルス対策を行う上で、地球上のすべて人々は運命共同体です。現在、日本、アメリカ、フランスなど各国でワクチンの開発競争が行われています。また、日本では新型コロナウィルスの治療に関しては国籍を問わず無料で行っており、治療等が必要な中国からの旅行者に対し特例でビザ延長を行ったケースもあります。中国にはこの新型コロナウィルス対策でリーダーシップをとり、各国と協力して危機を解決する使命と責任があると思います。そして、その使命と責任は中国に居住する私たち一人一人にあります。まさに映画「流浪地球」で主人公の少年が各国の救援部隊と協力して危機に立ち向かったのと同じように。武汉加油!中国加油!自己加油!大家一起加油!(武漢頑張れ!中国頑張れ!自分も頑張る!皆んなで一緒に頑張ろう!)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年2月11日

 

 

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