国際オリンピック委員会(IOC)は24日に発表した共同声明の中で、現在の感染状況を受け東京五輪を延期し、2021年夏までに開催するとした。IOCのバッハ会長は世界の通信社からの取材に応じた際に、日本の安倍晋三首相との会談の内容を紹介し、東京五輪の延期の理由について詳細に説明した。
問:来夏、もしくは予定されていた時期(7月24日から8月9日まで)など、東京五輪の開催時期について言及はありましたか。この決定に関するコスト拡大の問題は解消済みですか。
答え:日本の首相と私は時期の問題について議論しなかった。これは調整委員会と東京五輪組織委員会が担当する。この大規模で非常に複雑なパズルには多くのピースが存在する。五輪はこの地球上で最も複雑なイベントかもしれない。私と安倍首相の1度の電話会談で、すべての計画を練ることはできない。調整委員会や国際スポーツ連盟機構(GAISF)を含む各方面と緊密に連携しなければならない。これは本当に大きな挑戦だ。
財務の問題についても議論しなかった。五輪延期は人命の保護を目的とするもので、経済面について優先的に考慮することはできないからだ。安倍首相はすでに、日本政府が全力でこのプランを支持し、五輪の開催成功に尽力すると表明した。私もIOCが積極的な結果に向け全力で取り組むと表明した。
問:世界保健機関(WHO)から提供されるデータと提案に先週末大きな変化があったが、バッハ会長はご自身の考えにも変化が生じていると言いました。選手の間で五輪延期の呼び声が高まったから考えが変わったのでしょうか、それとも考えを変え五輪延期を検討するきっかけがあったのでしょうか。
答え:私が選手に宛てた公開書簡をご覧になったと思うが、私と彼らの気持ちは一致している。我々は情勢の不確実性に対応しなければならない。これは我々が遭遇したことのない、予想もしなかった状況だ。世界各地の選手にとって極めて困難な状況だ。そのため我々は終始、適切な時期に情勢の変化に対応し、早急に決定する必要がある。
全体的な発展状況の変化を見れば、大きな転換が見えてくるはずだ。
当初は日本が全世界の選手に安全な環境を提供できるかという問題だった。当時は日本のさまざまな措置を目にし、日本の進展に自信を深めていた。(感染関連の)データを見て、4カ月半後に安全な環境が提供されると信じることができた。
しかしその後、感染が世界的に流行した。特にここ数日、感染状況の悪化が非常に懸念されている。アフリカはウイルス拡散の開始段階にある。WHOは数時間前、アフリカは最悪のケースを想定しなければならないと表明した。世界のその他の地域で(感染者の)数が増加している。
我々の最高の主旨は、選手の健康を終始維持し、ウイルス感染の抑制に取り組み、世界の感染者に関心を寄せることだ。これは我々がさらなる措置を講じた理由だ。興味があれば(新型コロナウイルスの大流行の加速に関する)データを提供できる。感染者が10万人になるのに67日かかったが、それから11日後に20万人に増え、それからさらに4日後には30万人にのぼった。現在はすでに37万5000人を超えている。これらは世界各地の感染者で、かつ報告された感染者のみだ。
問:第一次・第二次世界大戦により五輪が中止された後の、五輪最大の危機と捉えていますか。
答え:さまざまな見方があるため、比較は常に危険だ。戦争が人々に長年もたらした苦難を考えると、今回の五輪延期を戦争による中止と比べるのは不適切だと思う。我々は人類にとって未曾有の危機と言うことができる。ウイルス感染が世界的にこれほど急速に拡大するのを見たことがない。そのためこれは五輪にとって未曾有の挑戦でもある。私が知る限り、これは五輪史上初となる延期に踏み切るべき理由だ。
問:感染症が来年の夏に収まっているかは誰にも分かりませんが、状況が好転しなければ再延期、あるいは東京五輪の中止を検討しますか。また会長の5月の広島訪問の予定に変更はありませんか。
答え:IOCはすべての人の健康を確保した上での五輪開催を重視し、これを約束する。この約束が変わることはない。我々のすべての決定はこの主旨に沿ったものとなる。
私は安倍首相との電話会談で、5月の訪日について言及した。私は予定の日時通りに訪日する。私は今回の訪問により、我々の東京五輪開催成功に関する全面的な約束を表明できることを喜んでいる。同時に東京五輪組織委員会、各級政府部門、すべての日本国民に感謝する。彼らの五輪開催のための取り組み、五輪に対する熱意と支持に感謝する。また我々は全身全霊で彼らの成功をサポートすると約束する。私が安倍首相に伝えたように、人類がこの未曾有のコロナウイルスの危機を乗り越えた後、東京五輪は盛大な祝賀イベントになるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月25日