東京五輪の延期、間接的な経済損失は750億ドル

東京五輪の延期、間接的な経済損失は750億ドル。東京五輪の延期が決まるまで、関係者、特に日本側でさまざまな駆け引きが展開された。世界に感染が拡大し、東京五輪の予定通りの開催が事実上不可能になるなか、日本は強気の姿勢を崩さなかった…

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発信時間:2020-04-13 15:29:37 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 聖火の展示が緊急中止され、聖火リレーが中止され、五輪が1年延期となった。世界の各種スポーツイベントにおいて、  感染症の影響が最も大きいのは間違いなく東京五輪だ。東京五輪の開催延期は単なる時期だけの問題ではない。日本はこれにより大きな損失を被る。


 東京五輪の延期が決まるまで、関係者、特に日本側でさまざまな駆け引きが展開された。世界に感染が拡大し、東京五輪の予定通りの開催が事実上不可能になるなか、日本は強気の姿勢を崩さなかった。国際オリンピック委員会(IOC)が意思表示をした後に、ようやく同意せざるを得なくなった。


 東京五輪の延期、日本に重大な損失


 関係者の駆け引きとはいったい何か。答えはもちろんマネーだ。


 日本経済新聞の統計によると、会場の建設やホテルの増築のみでも、日本政府は約400億ドルを費やした。


 東京五輪が1年延期された場合、五輪関連の場所の維持・管理費、各競技団体の出場資格をかけた予選の経費などの損失が58億ドルにのぼる。


 日本問題専門家の章弘氏は、「1年延期となれば、すべての場所、宣伝、運営を維持しなければならない。この1年間に向け、日本の各機関の予算を増やす必要がある」と指摘した。


 日興証券の予測によると、五輪を今年開催できない場合の間接的な経済損失は750億ドルにのぼり、日本の通年のGDPの1.4%を占める。延期により日本のGDP成長率は0.7−1.4%低下する可能性がある。


 2016年のリオ五輪閉幕式で、安倍晋三首相は意外にもスーパーマリオのイメージで登場した。五輪開催による日本経済の長期低迷の早期改善に向け願いを込めた。日本国内では、56年前に五輪が初めて日本の国運を救ったとされている。


 日本は1964年の東京五輪に1兆円(当時の約30億ドル)を投じ、関連建設を支援した。大規模なインフラ整備は国民経済の急成長を促し、1962−64年の「オリンピック景気」を生み出した。


 データによると、日本の1962年の実質GDP成長率は7.0%で、63年には10.5%に上がり、64年には13.1%に達した。東京及び日本全体の経済力及び都市景観に質的な変化が生じた。


 章氏は「当時の日本には高速鉄道があり、新幹線と呼ばれていた。新幹線はこの時期に建設されたもので、日本の2大工業地帯間の移動距離を大幅に短縮した」と述べた。


 五輪のうま味を知る日本は2020年東京五輪に再び望みを託し、大量のマンパワーと財力を注いだ。これを機会にかつての輝きを取り戻そうと切に願った。


 ところが新型コロナウイルスの襲来により、東京五輪の前途に黒い影が差した。


 多くのイベントと日程が重複


 東京五輪の延期が苦しい決定となったのは、日本経済に巨大な損失をもたらし、さらには五輪のスポンサー、放映権を持つテレビ局、IOC、その他のスポーツイベントにも重大な影響を及ぼすからだ。


 2021年の夏には陸上世界選手権、ユニバーシアード、FIFAクラブワールドカップなどの大型スポーツイベントが予定されている。2020年に開催が予定されていたEURO2020とコパ・アメリカ2020なども感染症の影響により、2021年夏に延期となった。そのため五輪の来夏延期は一連の連鎖反応を生む。


 北京大学国家体育産業研究基地の研究員である何文義氏は「五輪や世界選手権などはいずれも事前に日程が決まっており、過密スケジュールだ。国際陸連の陸上世界選手権はすでに延期されたが、この再延期により2022年のアジア競技大会に影響が及ぶ可能性がある。夏季五輪と冬季五輪は2年ごとに開催されるが、この延期により間隔が6カ月のみとなり、間違いなく影響が生じる」と指摘した。


 米放送大手NBCユニバーサルは3月3日、東京五輪向け広告枠を約12億5000万ドル販売しており、五輪期間中の広告の9割が予約で埋まっていると発表した。これらの広告をいかに処理するかも、新たな厄介な問題になっている。


 東京五輪委員会の計画によると、2020年の東京五輪の収入は約6300億円で、うち3分の2弱がスポンサー料になる見通しだった。しかし五輪延期により、協賛日程が重複するスポンサーも出てくる。


 蒙牛は2019年6月にコカ・コーラと共同で、IOCと総額30億ドル・期間12年の契約を結びTOPパートナーになった。契約は2021年に発効。日本の乳業メーカーの明治は2020年東京五輪の国内スポンサーで、「ゴールドパートナー」になっている。


 TOPパートナーには独占権がある。つまり同時期のスポンサーの中から競合他社を排除できる。これは東京五輪のスポンサーリストの大きな問題になる。


 イベント、著作権、スポンサーなどの業務のほか、五輪という世界クラスのIPと関わるビジネス受益者にはスポーツマーケティングや関連グッズ、さらには「二次元」が含まれる。東京五輪の延期によって倒されたドミノは、多くの関係者をピリピリさせている。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月13日

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