日本政府が7日、東京や大阪など7地域の緊急事態宣言を出した後、日本で新型コロナウイルスをめぐる緊張が急激に高まった。感染が拡大するなか、11万人以上の在日中国人留学生の健康の安全が懸念されている。中国駐日本大使館は直ちに留学生に防護物資を送った。大使館の働きかけを受け、日本各地の中国留学生学友会も積極的に行動し始めた。団結・相互支援により苦しい時期を乗り切る。在日中国人留学生の学習・生活状況を理解するため、『法制日報』の記者は一部の留学生のインタビューを行い、各自の感染対策のエピソードを語ってもらった。
常久洋さんは大阪大学医学部研究科循環器内科学で学ぶ、在学4年目の博士課程の学生だ。常さんは西日本地区中国留学生学友会のメンバーでもある。常さんによると、新型コロナウイルスの流行後、西日本地区中国留学生学友会は専門的な翻訳チームを作り、日本で毎日報じられる感染症関連のニュース及び政府発表の情報を直ちに中国語に翻訳し、在日留学生に送信している。また一部留学生がストレスを抱え不安になっていることを受け、学友会は在日大使館教育処の指導のもと、2月27日にメンタルケアチームを作った。西日本の大阪大学、京都大学、神戸大学、岡山大学、広島大学の心理学及び臨床医学博士など13人の志願者が、多くの中国人留学生に無料・マンツーマンの心理カウンセリングを提供している。
大阪は感染状況が深刻で、緊急事態宣言が出された7地域の一つだ。大阪からほど近い京都のキャンパス内でもクラスターが発生しており、大阪の複数の大学でも学生の感染者が出ている。幸いにして、中国人留学生の感染者は出ていない。
中国駐日本大使館は4月5日に張伯礼院士を招き、在日留学生及び在日僑胞とのオンライン対話を行った。常さんは西日本中国人留学生の代表者として対話に参加した。恐慌ムードをいかに和らげるかについて、張氏は中日の感染症に対する処理方法、新型コロナの変化、個人の防護方法などの角度から丁寧に回答した。常さんは「留学生はこの対話で、新型コロナに関する多くの知識を学んだ」と述べた。
「日本で感染症が流行すると、在日留学生は祖国からの温もりを実感した。大使館は最近、留学生にマスクを配った。近日中にはさらに健康パックなどの物資を配る。留学生たちは現在とても安心している」
常さんはインタビュー終了時に、「日増しに厳しくなる感染状況のなか、在日留学生は終始、感染はいつか終息すると信じており、静かに春の訪れを待っている」と話した。
姜淼さんは東京大学の博士課程に在学して3年目の学生で、電子工学を専攻している。3月5日より微信アカウントの投稿を続けている姜さんは学生から啓発を受け、微信アカウントにより周囲の留学生や知り合いに向け、日本の新型コロナの最新情報を毎日報告するようになった。姜さんは毎日、NHK、厚生労働省、地方自治体の公式サイトをチェックし、最新の感染データをまとめたものを共有している。過去1カ月以上に渡り姜さんに多くの反応が集まった。彼女は人助けの喜びを感じた。
姜さんによると、日本で感染が発生した当初、人々の予防の意識は高くなかった。外ではマスクをつけていない人が多く、電車もいつものように混雑していた。感染拡大に伴い、マスクが不足し、日本社会でトイレットペーパー、米、食料の買い占めなどが発生すると、周囲の人々が緊張し始めたと感じるようになったという。4月7日夜になり安倍首相が緊急事態宣言を出すと、日本社会の感染対策の強化を実感できるようになった。
感染の影響を受け、姜さんの所属する研究室の会議と学校の授業がオンライン形式になった。研究と学習がやや不便になったが、今のところ影響は大きくない。東大は4月6日、活動制限指針をレベル2(最高はレベル4で学校封鎖)に引き上げると宣言した。学生は登録と申請を行えば、校内で通常通り研究活動を行える。東大はさらに8日、活動制限指針をレベル3に引き上げた。学校での研究活動の規制をさらに強化し、一部の研究ツールの使用に許可を求めるようになった。しかし彼女が所属する研究室は、学生の校内での実験を規制するという通知を受けていない。
姜さんによると、各国での感染拡大は避けては通れない流れであり、程度と速度が異なるだけだ。その他の感染状況が比較的深刻な国を見ると少し心配になり、周囲の中国人の知り合いも緊張するという。姜さんは感染対策として、普段からマスクを使い、丁寧に手洗いし、換気に注意し、アルコールを常備するなどしている。またなるべく人の多い場所に行かず、スーパーに買い物に行く場合も人の少ない時間帯を選ぶ。全体的に家・学校・スーパーの間を行き来する生活になっているという。
日本社会の防護物資が不足し、手元のマスクが残り20数枚のみとなるなか、大使館は留学生向けに「健康パック」を送るという情報を発表した。心温まった姜さんは直ちに情報を記入した。関連物資はすぐに届く見通しだ。また留学生学友会、華促会なども留学生にマスクを支援している。留学生の間でも関連情報を共有し、マスクを相互支援している。これにより学習に専念し、安心して生活できるようになっている。
姜さんは、「日本で感染状況が深刻になった後、家族とのテレビ電話でいつも帰国について話し合ったが、ずっと迷っていた。学業、帰国途中及び帰国後の交差感染などの問題を考えると、日本に滞在していたほうが確実だと感じるようになった」と話した。
「莫道浮雲終蔽日、厳冬過尽綻春蕾(浮雲と厳冬はいつか過ぎ去り、春の蕾がほころぶ)」姜さんはインタビューの最後にこの漢詩を引用し、感染症に打ち勝ち、学業に専念し、一日も早く学びの成果を手にするよう自分とその他の留学生を励ました。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月13日