2カ月の苦しい戦いを経て、かつて「震源地」だった武漢市の封鎖が4月3日、正式に解除された。これは中国の感染症との戦いが段階的な重大な勝利を収めたことを意味する。日韓両国は現在、国内で戦いを続けている。韓国・ソウルの防疫情勢は予断を許さない状況で、政府は5日までとしていた「社会的距離戦略」をやむなく19日まで延長した。日本は、東京で感染者が急増する危険な状況に直面している。東京などの7都府県の緊急事態宣言を余儀なくされた。(筆者・付永嘉 総合開発研究院(中国・深セン)ポスドクワークステーション)
中日韓の感染対策の進度に差があるのは、日韓が比較的柔らかなモデルを採用し、全面的な感染抑制の目標を達成するため長い時間がかかるからだ。中国は3カ国のうち最も早く国内の感染再発をほぼ阻止した国だ。国内情勢は安定しつつ好転し、操業再開が秩序正しく推進される有利な条件のもと、重点的に日韓を支援し、手を携え東アジアで国際共同感染対策メカニズムを構築するべきだ。これは両国の中国に対する善意に対してより大きな善意で報いるだけではなく、特殊な国際情勢のもと中国の安全と国益を守るための措置でもある。筆者は次の行動を提案する。
(一)日韓への防疫物資の援助とその他の支援を拡大し、力を合わせて3カ国の国内の感染症に勝利する。ウイルスに国境はない。中日韓は感染症を前にし、運命と苦楽を共にする。隣国の日韓が国内の感染を押さえ込めなければ、中国は逆輸入のリスクに直面し続け、かつ国境封鎖を余儀なくされる。これが長期化すれば東アジアの経済及び産業チェーンが解体される恐れがある。これは決して中国の利益にならない。そのため感染対策の新たな段階において、中国は「城門の外で敵を防ぐ」戦略方針を採用し、3カ国と感染対策の共同戦線を敷き、最速ペースで東アジアの感染を終息に向かわせるべきだ。この目標を実現するため、まず日韓の感染症殲滅戦を支援し、不足している防護用品、薬品、医療設備の提供に重点を置く。次に3カ国の防疫設備基準の相互認証を推進し、感染対策の重要物資の通関を円滑にする。それから専門家とボランティアの医療チームを派遣し、各省の湖北省支援モデルを参考にし両国の感染地域に駆けつける。さらに、中国のインフラの優位性を発揮し、適切な時期に日韓に野戦病院、仮設病院、仮設住宅の建設援助を行う。
(二)新しい方法を模索し、3カ国間の人員流動を早期再開する。新型コロナウイルスには潜伏期間が長く、無症状でも感染するという特徴がある。その大流行を受け主要国及び経済体が国境を閉ざし、国際的な人員流動が麻痺に向かっている。ウイルスが世界に拡散し、各国の感染対策の進度が一致しない状況下、封鎖された国際交通をいかに回復するかは依然として、各国が突きつけられた難題となっている。注意すべきは中日韓が同じく「感染対策優等生」であり、世界各地に先駆けて国内の感染症に勝利する可能性を持っていることだ。日韓両国の国内の感染状況が終息に向かえば、中国側は積極的に日韓と新プランを模索し、先に3カ国間の人員流動を再開するべきだ。東アジアの範囲内で交通を再開することで、世界各国の交通再開に向け模範を打ち立てる。
そこで3カ国の出入国部門、衛生・防疫部門の協力を掘り下げ、「戦線を前に置く」方針を採用するべきだ。相手側の国境にそれぞれ人員を派遣し、防疫レベルの「一地両検」(双方の出入国審査を1カ所で行う)を実施し、出入国者の検査を行い、高リスク人員の搭乗・乗船を防止する。次に、ビッグデータ情報共有及び医療記録の相互認証を推進し、3カ国共通の「国際健康コード」を構築し、低リスク地域の人員の国際旅行の利便性を高める。それから電子ブレスレット、携帯電話のブルートゥースによる距離測定、スマート出入口警備などの手段を柔軟に運用し、条件に合致する渡航者に出発地(さらには自宅内)で事前隔離の選択肢を提供し、隔離にかかる全体的な社会コストを引き下げる。さらに他国からの感染者の輸入を共同で防止する。日韓と緊密に連携し、世界各国の感染リスクを研究・判断し、3カ国の共通認識を形成し、「どの国の封鎖をいつ解除するか」という問題をめぐり一致して行動する。
(三)長期的かつ効果的なメカニズムと常態化計画を作り、一体化防疫対応モデルを形成する。東アジア3カ国は温帯に位置し、人口が密集し多様な種が存在し、感染症に脆弱だ。今後COVID-19に似た、あるいはさらに強力なウイルス感染が東アジアで再発する可能性が完全にある。東アジアが再び感染症に見舞われることを回避するため、中日韓は今回の災いを鑑とし、3カ国間の防疫の長期的かつ効果的なメカニズムと常態化計画を作り、徐々に一体化対応モデルに発展させるべきだ。東アジア共同防疫メカニズムの構築の推進は、中国の近年の中日・中韓関係改善の全体的な外交戦略と合致し、3カ国の相互信頼を促進する。また中日韓自由貿易区の実現にとっても有益だ。
東アジア共同防疫メカニズムの育成は、一足飛びに成し遂げられることではない。中日韓は今回の感染対策で蓄積した善意を十分に利用し、「順を追い一歩ずつ進み、容易な所から着手する」の原則に基づき、防疫関連の各部分の互助を掘り下げ、保障メカニズムを構築するべきだ。まず、今回の感染期間中に構築した短期的な計画を常態化させる。国を跨ぐ災害救助人員及び医療物資輸送の長期的なグリーンルートを構築する。3カ国の衛生・防疫部門の専門家の交流の頻度を上げ、代表者の相互派遣を試み、感染初期の早期警戒・報告メカニズムを改善する。次に日韓と協議し、重大感染症をめぐる医療保険相互認証の実現を目指す。3カ国の公民が地域内で直ちに効果的な治療を受けられるようにする。さらに、3カ国の「貿易・外資安定」の共同計画を構築する。突発的な感染症や自然災害の期間中に地域のグローバル企業の納税・経営の圧力を和らげる。東アジアのサプライチェーンの円滑を保証し、産業の解体と外部移転を防止する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年4月14日