今回の新型コロナウイルスをめぐる感染対策の協力と助け合いにおいて、中日両国は政界から経済界、企業から民間に至る各レベルの交流により、産官学研各界の意欲と協力を深めた。それと同時に猛威を振るう感染症は、中日の制度、経済力、産業安全、国際バランス能力などに関する異なる認識・需要・手法を浮き彫りにした。感染症が常態化する流れ、中米の駆け引きの拡大において、日本は対中協力戦略を絶えず修正するよう迫られている。これには時代と共に進む合理的な発想、それから潜在的に生じる消極的な要素が存在する。そのうち3つの大きな変化の趨勢に注意が必要だ。
(一)中国進出を縮小し、産業安全の国内回帰を奨励する。日本政府及び経済界は感染症を受け、重大緊急事件から衝撃を受けた際の経済安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定の重要性を認識し始めており、中国の産業構造への過度な依存による利害の見直しを始めた。海外進出を早急に縮小し、対中開放のペースを秩序正しく落とす声が大きくなっている。その一部はすでに見えぬ形で方針に示されており、一部はまだ途上にある。日本の安倍首相は今年3月の未来投資戦略会議にて、ハイテクと特許を持つ企業の国内回帰に期待する姿勢を示した。日本政府はさらに4月、在中企業の国内回帰を支える2200億円の予算を組んだ。感染症を受け、欧米日は同時に「経済の首を締められれば深刻な結果に」と悲観的に論じたが、これが撤退をほのめかしていることは明らかだ。政府が在中日本企業の方針を完全に決定することはできないが、「企業の護衛艦隊」と呼ばれる日本政府には企業に追従させるさまざまな手段がある。
(二)保守的な地域協調を再構築し、自国優先の経済・貿易協力を確立する。地域協調の強化は、グローバル化を推進し多国間主義を堅持し自由貿易圏を拡大する日本の重要な手段だった。日本はまたアジア太平洋地域で画期的な地域通商協力の構想を最も多く打ち出している国だ。署名済みのCPTPP、推進中のRCEPはもとより、日本は中日韓FTAも積極的に推進している。しかし現在の感染の広がりを受け、日本では地域協調を保守化し、外資企業誘致と外資導入により産業安全を強化し、経済・貿易の利益で自国優先を主張する声が出ている。先ほど日本の経済産業省がインテルやTSMCを国内に誘致し、自国の半導体中核・重要部品メーカーの回帰を促そうとしているとの情報があった。これは日本が将来的に中国との地域開放及び協調において、先端企業のM&A防止を強化し、国内産業の空洞化対策に力を入れ、在中日本企業の国内貢献の保守的な姿勢を強めることを裏付けている。当然ながら日本は米国のように自国優先を直接標榜することはなく、また数十年手がけてきた中国事業を手放すこともなく、引き続きRCEPと中日韓FTAを推進する。しかし今後の対中通商交渉及び協力において、自国にとって有利という前提条件を追加する。これは対中戦略に生じるべくして生じる変化だ。