日本の安倍晋三首相の辞任表明後、菅義偉氏はメディアから次期首相の最有力候補とされている。
長期的に国内事業を担当してきたため、外交は菅氏の弱点ではないかと見られている。確かに菅氏は舞台裏の調整に長けており、大舞台でのショーは得意そうに見えない。将来的に世界の外交の舞台、特に先進国の首脳会議で安倍氏のような力を発揮できそうにない。しかし菅氏は官房長官として安倍内閣の外交政策の策定に参与し、さらに米国のペンス副大統領らと親密な関係を構築している。先ほどのトランプ大統領と安倍氏の電話会談にも菅氏は在席した。そのため菅氏は安倍政権の米日の緊密な安保関係を引き継ぐと見られている。菅氏も「日米同盟を軸に隣国との関係を構築する。現在の日本のこの立ち位置を変えるべきではない」と述べた。
具体的な対中外交について、経済関係については進展があるかもしれないが、ハイテク分野で米国に追随し中国をけん制する際に手を抜く可能性は低い。
対中政策について、菅政権発足後にその方針に変化は生じず、日米同盟を軸とした枠組み内で対中関係の発展を推進することになる。経済政策に長け、日本の地方の経済活性化を重視する菅氏は将来的に、両国の経済関係をめぐり安倍氏よりも積極的で前向きな態度を示す可能性がある。菅氏は安倍内閣で積極的に「観光立国」政策を推進した。そのために法務省と警察庁の反対を顧みず、中国人を対象としたビザ発給要件を緩和し、中国人観光客を集めようとした。これらの措置を見ると、将来的に両国の経済関係の発展が期待できるかもしれない。また菅氏が地方の経済活性化を重視していることから、中国に日本の農産物を積極的に販売し、対中輸出を拡大する可能性がある。しかし釣魚島などの問題をめぐり、菅氏は強硬な立場を示すだろう。これは小笠原諸島に新しい島が出現した時の菅氏の感想からも読み取れるかもしれない。海底火山の噴火により、2013年に小笠原諸島に直径200メートルの新しい島が形成されたが、記者から感想を聞かれた菅氏は満面の笑みで「領海を拡大できる」と述べた。
菅氏は5日、インタビューに応じた際に「特定の国に依存する産業チェーンの認識を改めなければならない」と強調した。また菅氏が自ら方針決定に加わっている経済安全保障の現状を維持し、国家安全保障局を中心に対策の研究を続けると強調した。これは安倍内閣が推進する包括的な産業チェーンの再構築などを含む経済安全保障問題を菅氏が継承することを意味している。産業チェーンの再構築のほかに、日本は今後ハイテク分野で米国に追随し、中国へのけん制を強化する。中米のハイテク競争において、日本は先に選別してから協力もしくは封鎖するという対策を講じうる。日本政府はまず、どの技術分野で中国と協力できるかを念入りに選別し、すでに公開されている技術の量産化であれば中国と協力する。しかし安全保障の基礎に関わる技術については中国と協力しないばかりか、厳しい封鎖措置を講じる。そのために日本政府は今後、具体的な法律を打ち出す可能性がある。(筆者・張伯玉 中国社会科学院日本研究所の研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年9月8日