新型コロナウイルスワクチンは東京五輪の頼みの綱になるのだろうか。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は28日、2月上旬に東京五輪競技ハンドブック(初版)を発表し、出場者に新型コロナウイルスへの対応を指導すると発表した。バッハ氏はさらに各国の五輪委員会との電話会談で、IOC及びそのパートナーは新型コロナの感染対策を検討中で、ワクチン接種がその一環となると再言及した。
一部の国、五輪選手団にワクチンを接種
ロイター通信によると、イスラエル五輪委員会は五輪選手団の半数の接種を終えている。全員の接種は5月末までに完了する。ハンガリー五輪委員会は五輪選手の接種を数週間内に開始する予定だ。デンマークは150人の選手及び200人の関係者の接種の7月1日までの完了を目指す。ギリシャとベルギーは現在、政府が選手の接種に向け「グリーンルート」を開設するのを待っている。
バッハ氏は先ほど、「接種は強制ではなく、IOCは選手による接種の割り込みにも賛成しない。接種は医療従事者と弱者を優先的に考慮すべきだ」と発言した。ドイツ五輪委員会は、選手は接種の順番を守り、かつ国のワクチン接種計画に干渉しないと表明した。英国五輪委員会は「弱者、高齢者、現場の人員」が優先的に接種を受けると表明した。米国五輪委員会は正式に方針を示していないが、その医療事務責任者は、米国の選手が割り込むことはないと述べた。
一部の選手からはワクチンに「ノー」の声も
フランス五輪委員会のデニス・マセグリア会長はAFPに「法的な理由により、IOCはワクチン接種を願っても強制はできない」と述べた。名テニスプレイヤーのジョコビッチは「ワクチン接種に反対する。身体への影響が未知数だからだ」と表明した。世界アンチ・ドーピング機関は、ワクチンがドーピング検査に悪影響を及ぼさないことが多くの研究データによって示されていることから、選手はためらわず接種を受けるべきとしている。同機関の専門家のオリヴィア・ラビン氏は「ワクチンによりドーピング検査で陽性に百パーセントならないとは保証できないが、その確率はおよそ100万分の1、さらには10億分の1しかない。そのためワクチンによるドーピング検査のリスクはほぼ存在しない」と述べた。
英BBCは「ワクチン開発能力が低く、さらには開発能力を持たない国はどうするのか。選手が接種を受けられなければ、公平性の問題にならないか」という疑問を呈した。
IOCと東京五輪組織委員会が決意表明
IOCのメディア運営担当のルシア・モンタナレラ氏は、ワクチン接種の普及率は東京五輪開催の前提条件ではないと述べた。バッハ氏は28日の記者会見で、「現在の取り組みに専念し、東京五輪が7月23日に予定通り開幕し、安全かつ成功した五輪になるようにしなければならない」と繰り返した。東京五輪の関係者は、この言葉に励まされていると述べた。
27日付「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、日本の五輪組織委員会も積極的に活動していると報じた。米国が大規模な選手団を派遣することで、日本に高額の中継料金が入るため、東京五輪組織委員会の高橋治之理事は「バイデン大統領が五輪に積極的な姿勢を示せば、力強いサポートになる」と述べた。
共同通信社の28日の報道によると、東京五輪組織委員会の森喜朗会長は、無観客試合を選択肢の一つとして検討すると表明した。さらには医療従事者からは驚くべき提案があった。来場者の年齢を50歳以下にし、感染のリスクを減らそうというのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年1月28日