米日豪印の外相は18日、電話会談を行った。日本の共同通信社によると、4カ国は今回の会談で「中国の力による一方的な東中国海・南中国海の現状変更の試み」に強く反対することで合意した。これについて我々が注意すべきは、この「合意」が存在するのか、仮に存在するならばそれが何を意味するかだ。(筆者・胡波 「南中国海戦略態勢感知計画」主任)
一貫した主張によると、米日豪印の「4カ国戦略対話(クアッド)」は、「自由なインド太平洋の秩序、特に海洋の秩序を守る」ことを目的としている。これはスタートの段階から、東中国海及び南中国海情勢に対する共同の懸念を含んでいる。そのためクアッドが東中国海及び南中国海問題である種の合意を形成したとしても、それは想定内のことだ。ところが4カ国の東中国海・南中国海などの中国関連の海洋問題に関する関心事と政策は異なっている。
中国関連の海洋問題における米国の優先事項は、自国にとって有利な勢力構造と主導権を維持することだ。米国の論理によると、中国が何もしなくてもその勢力が発展すれば、その主導権に対する挑戦となる。そのため米国が外交、法律、軍事、世論などの各レベルで中国に全力で圧力をかけても不思議ではない。米国は毎年、中国周辺海域に延べ数千機の偵察機と延べ百隻の軍艦を派遣し活動させているが、それと同時によく「中国が米国の勢力を東アジアの海域から追い出そうとしている」と文句を言い批判し、中国がたまにグアム島やハワイの近くの海域で正常な軍事活動を行うと大げさに喧伝する。
日本は中国と釣魚島や東中国海の境界線などの問題で係争中だ。そのため米印豪などの係争とは無関係の国を自分側に抱き込もうとしている。特に中国のシーパワーが大幅に向上するなか、日本は「海上対中統一戦線」を結成する強い意欲を持っている。これは今回の4カ国会談の後、日本側が積極的にいわゆる「合意」を発表した理由だ。日本は近年、南中国海事務への関心と介入を強め、さらには南中国海で常態的な軍事的プレゼンスを保っている。
豪州はアジア太平洋の「副保安官」を自称している。東中国海及び南中国海を含むアジア太平洋事務に責任を負い、中国関連の海洋問題において米国に追随している。これは豪州が建国以降、遠交近攻の伝統を持ち、アジアのいかなる大国も信頼せず、かつ西側の傲慢さを持っていることが根本的な理由だ。
インドは世界的に見て、海洋の自由の制限が最も多い国の一つだ。米国の「インド太平洋戦略」がインドを重要な位置に据えていることから、インドは近年関連海域の問題で声を出しているが、米日豪ほど強い調子ではない。
そのため4カ国がインド太平洋の「ルールに基づく国際秩序を維持する」とよく称しており、小さな合意もあるが、彼らの目標・能力・決意は完全に異なる。米国は世界で唯一、中国のシーパワーをけん制する能力と意向を持つ国だ。日本は東中国海において中国の大きな挑戦となっている。豪州は主に外野から応援し存在感を示している。インドの南中国海及び東中国海などの問題への介入は、主に外交及び世論のレベルに限られている。4カ国の東中国海及び南中国海問題における協力も現在、外交及び世論のレベルに留まっており、短期間内に実質的な同盟を形成する可能性は低い。実質的な動きと比べると、外交面で姿勢を示すコストは割安だ。
中国側は4カ国の連携を高度に重視し、的を絞り反撃・対応する必要があるが、過度に懸念・緊張する必要はない。海洋強国を建設する中国が直面する国際安全情勢は厳しく、クアッドがこの挑戦をさらに大きくすることは間違いない。しかし今日の中国はもはや百年前の中国ではなく、今日の世界も百年前の世界ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年2月20日