東日本大震災から10年 福島の難題が正念場を迎える

東日本大震災から10年 福島の難題が正念場を迎える。福島原発事故の深刻さ、人類による原発事故の処理の経験及び能力の不足により、現在まで続く苦しい努力も依然として震災後の再建活動の序曲に過ぎないことを認めざるを得ない…

タグ:福島 原発 汚染水 10年

発信時間:2021-03-11 14:13:32 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

 (一)長期を見据え、総合的に大金を費やす。この10年間に渡る日本メディアの報道には、東電が原発事故の処理に大金を費やすという情報がよく見られる。特殊な歴史的原因により、戦後日本の原発産業は曖昧な「国策民営」体制を採用した。原発安全、原発事故の処理など国の大計と国民生活に関わる重大な問題については、東電という民間企業が責任を負う。東電にとって、巨額の出費は極力避けたいことだ。目の前を見据え自社のため出費を抑えるという意識により、東電は原発事故の処理において終始、時間とカネを節約する「短期決戦」の心理から脱却できていない。汚染水問題を例とすると、2011年にALPSの機能・モデルを確定し、2016年にトリチウム除去技術を選択した際に、東電などの関係者は資金節約を目的にし、出費が少なく効果も最良ではないプランを選択した。これは客観的に見て、汚染物質の不十分な除去、その後の「処理水」の問題を生んだ。とは言え我慢強く待ち続ければ、汚染水に含まれるトリチウムなどの放射性物質は十数年の半減期を経て、危害が大幅に減少する。しかし「短期決戦」が念頭にある東電は、放出により負担を軽減したいという強い意向を持つ。日本は現在、汚染水問題の最終決定を下していない。しかし軽率に行動すれば、その行為が世界の海洋生態安全に必然的に影響を及ぼし、日本の国の信用と国際的なイメージを損ねるはずだ。小のため大を失うことを察しなければならない。

 

 (二)実務に取り組み、実際に取り組み、良きことを為す。福島原発事故による生態環境問題は、日本の国民生活に関わる重大な社会問題であり、日本の内政・外交の動向に関わる重大な政治問題でもある。さまざまな世論調査を見ると、日本国民の事故処理への評価は非常に低く、与党及び政府の指導力・執行力・包容力の不足に強く失望している。現在も最も重要な処理方法のトップレベルデザインにおいて、日本政府は真のリーダーシップを発揮しておらず、政治的決断を下していない。上述した中長期ロードマップの小さいが極めて重要な部分を例に挙げると、事故発生から10年たちロードマップが計5回見直されているにも関わらず、福島第一原発の「最終状態」に関する問題についてはまだ明確に決まっていない。この問題は各種廃棄物、原子炉全体の廃炉方法、廃炉にかかる時間など一連の問題と直接関わる。「最終状態」を確定できないのは、主に地方自治体と十分に調整し、共通認識を形成できていないからだ。メディアは最近、政府が政治の主体として真の責任を発揮し、党の利益ではなく国民の利益を最優先し、着実に作業を展開し「創造的な復興」を実現すべきと指摘した。

 

 (三)地域協力の意識を高め、危機の意思疎通メカニズムを十全にし、開放と交流に積極的に取り組み、安全協力を展開する。人類は運命共同体で、生態環境保護は世界、特に地域諸国が直面する共通の課題・責任だ。まさにそのため、東日本大震災の発生後、中国を含む東アジアの隣国は真っ先に救いの手を差し伸べ、災害救助物資を提供し、その後の歳月も終始原発事故の処理状況を気にかけてきた。これは日本の人々を心配するためであり、さらには近隣諸国の大自然という生命共同体に強い結びつきを感じるからだ。原発事故処理は百年のプロジェクトであり、福島の安全は東アジアの安全を意味する。原発事故の前では誰もが傍観者や部外者ではありえない。この懸念の心は日本から誤解ではなく理解されるべきだ。

 

 中日の二国間、中日韓の3カ国間、東アジアの多国間には現在すでに多くの環境保護をめぐる協力枠組みがある。科学界、社会公益団体、一般人の間にも深い絆があるが、福島の難題は地域共同の議題になっていない。3.11と感染症による深刻な災いは、現代文明の両面性をより深く認識させ、危機対応における団結と協力の重要性を痛感させた。今後は東日本大震災10周年を新たなスタートラインとし、協力を強化し、福島原発事故及びその他の各種リスク・試練に共に対応し、東アジアのより美しい未来を切り開くべきだ。(筆者・金嬴 中国社会科学院日本研究所研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月11日

 

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