孤児院で子どもと遊ぶ小野真希さん(右側、写真=本人提供)
1年半以上交流を続け、今では小野さんにとって日本語クラスの生徒たちは家族のような存在だ。日本語クラスの微信(WeChat)グループでは、授業の連絡以外にも日本語や日本文化に関する面白い文章があればシェアし、小野さんが日常生活や学業での良い出来事や困っていることをみんなに知らせると、誰もがまるで自分の家族のように喜んだり、相談にのってくれたりするのだという。また、昨年の新型コロナウイルス流行時、日本へ帰国せずに北京で学業と卒論に励んでいた小野さんは、そのことを知った日本語クラスの生徒たちから温かいエールを次々ともらった。「日本でもご近所同士の付き合いはありますが、中国のコミュニティのようにまるで家族みたいに仲良しというケースは多くないのではと思います」と小野さんは語る。
日本語クラスの生徒の誕生日に、手作りのお祝いカードを送る小野真希さん(左側、写真=本人提供)
今年1月に大学を卒業した小野さんは現在、大学院への進学を準備している。彼女は中日通訳の専攻を目指し、将来は中国で仕事したいと思っている。聞けば、小野さんがコミュニティで日本語を教え始めた理由はボランティアが好きなだけでなく、中日友好に貢献したいという夢もあるからだという。
「日本では中国に対して偏見を持ったり誤解したりする人がたくさんいるかもしれませんが、私がこちらに来て改めて思うのは、中国の人々はとても優しくて、大家族みたいに私を温かく受け入れてくれるということです。言語を学び、コミュニケーションを通じて小さなことでもいいからお互いの文化を広めていけば、日中友好という自分の夢につながっていくのではと考えて、今は中国語の勉強を頑張っています」と語る。
小野さんの中日友好という夢は、両国の願いでもある。彼女のような若い世代の努力は、きっとその一助となっているはずだ。両国民が小野さんとコミュニティの人々のように、まるで家族のような親しい関係を持てる日……それは決して実現不可能ではなく、また遠い未来のことではないのかもしれない。
「北京週報日本語版」2021年3月15日