安倍政権の末期から現在の菅義偉政権にかけて、日本は釣魚島問題をめぐる喧伝の頻度と強度を大幅に上げている。日本は釣魚島問題を手がかりとし、共同で中国をけん制するネットワークを構築しようとしているが、自国の力だけでは徐々に強くなる中国に対抗できないことを熟知している。そのため日本は国際社会で近年、いわゆる「自由、民主、人権」の価値観を強調し、国際ガバナンスについて「法の支配」を強調している。安全問題では、中国が釣魚島や南中国海などの問題で「一方的に現状を変えようとしている」ことを強調している。これは実際にはカードを引き、手がかりを求めようとするもので、国際社会でいわゆる「価値観が一致する」、あるいは「戦略的利益が一致する」友好国を見つけ共同で中国と対抗することが目的だ。このような意図は安倍政権初期のいわゆる「地球儀を俯瞰する外交」によって示されており、現在も日本政府の策略になっている。(筆者・霍建崗中国現代国際関係研究院日本研究所副研究員)
日本政府は釣魚島問題の国内における喧伝を制止せず、そればかりか意図的に操作しているが、これには大きな危険が潜む。
(一)日本政府の指導層が釣魚島関連の世論を効果的にコントロールできないことで、日本政府の政策の選択肢が減少する。日本の言論NPOが昨年行った世論調査によると、日本人の89.7%が中国に対する印象を「良くない」と回答した。その最も大きな原因の一つが釣魚島問題だ。釣魚島問題を喧伝し、民族主義を煽ることで、日本政府は一時的に支持を得ることができる。しかし民意は政府のフットワークをさらに鈍くする。立場を変えようとしても民意の縛りにより実現が困難になる。
(二)日本政府は釣魚島問題で極力、米国を「助太刀」に抱き込もうとしている。表面的には日本がこの問題で自信を強めるが、実際には米国の戦車によりしっかりと縛り付けられ、米国の言いなりにならざるを得なくなる。日本の一部の人はすでに、バイデン政権が日本が望まぬ多くのことを強いるようになることを懸念している。同時に釣魚島問題で日本にどれほど約束しようとも、米国が日本の態度で対中路線を決定することはない。米国が求めるのは自国の利益の最大化だ。中米関係の緊張が和らいだ場合、釣魚島問題で過度に強硬な態度を取る日本は受動的な立場になる可能性がある。これについては先例がないわけではない。
(三)日本は釣魚島問題を手がかり・ツールとし中国けん制ネットワークを構築しようとしているが、虻蜂取らずの気まずい境地に陥る可能性が高い。日本はこれにより他国を中国けん制の駒にしようとしているが、まさに身の程知らずだ。インドや豪州など中国に対して各自の目論見を持つ国を極力抱き込もうとしているが、日本のために釣魚島問題で火中の栗を拾おうとすることはない。東南アジア諸国も釣魚島問題で中国と敵対しない。日本はこうすることで、中国との関係を順調に発展させられないという犠牲を払う。
(四)中国と協力し釣魚島情勢を効果的にコントロールせず、問題を持続的にエスカレートさせ、さらには国内の右翼、地方自治体、利益集団の軽率で危険な行為を意図的に放任する。これは末端の行為のコントロール喪失を招き、予測不可能な衝突のリスクを生みやすい。これは日本の国益を大きく損ねる。
釣魚島問題がたびたび中日関係を妨げる障害になっているが、これは日本が遅々として中国と「正常に付き合う」道を見つけられていないことが根本的な原因だ。これは心理的に見ると、日本の「自分の考えで人を推し量る」という習慣的な考え方によるものだ。
日本というかつての植民者は「国が強くなれば必ず覇を唱える」ことを深く信じ、中国の台頭は必然的に同じ道を歩むことになると独断している。同時にこのような考えがあるため、日本はウィンウィンを信じずゼロサムを信じている。これは重大な戦略的判断ミスと言わざるを得ない。日本はこれにより、中国と釣魚島などの敏感な問題を適切に処理する好機を失い、さらには間違った道を歩み続けることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月26日