菅政権、「戦術」と「戦略」の苦境を迎える

菅政権、「戦術」と「戦略」の苦境を迎える。日本メディアは菅政権の現在の苦しい状況を「四面楚歌」と表現している。これらの世論調査もその苦境を直観的に反映している…

タグ:対米政策 五輪 感染症 経済

発信時間:2021-05-24 15:00:48 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本国内で最近行われた一連の世論調査によると、菅義偉内閣の支持率が生死の分かれ目となる30%に落ち込み、昨年9月の内閣発足後で最低となった。日本メディアは菅政権の現在の苦しい状況を「四面楚歌」と表現している。これらの世論調査もその苦境を直観的に反映している。全体的に見ると、菅政権は2つのレベルの問題に直面している。まずは戦術的なもの、すなわち特定の環境における特有の問題だ。次に戦略的なもので、特有の問題ではなく、戦後日本の政治体制の弊害が長期的に発展・蓄積された結果だ。しかしこの戦略的な問題は菅政権でより余す所なく露呈しており、他とは異なる点となっている。(筆者・陳友駿上海国際問題研究院研究員)

 

 戦術的な問題については、主に次の現実的な矛盾が存在する。

 

 (一)新型コロナウイルスの対応に関する問題。感染対策は日本の現政府の最優先事項だ。これは経済の任務であり、さらに政治の任務である。しかし日本の多数の国民は現在、政府の感染対策に不満を示しており、さらには失望と倦怠の「政治疲れ」が生じている。別の統計によると、日本のワクチン接種人数の割合は世界100位以下で、多くの発展途上国に大きく遅れを取っている。これはその先進国としての立場と著しく食い違っている。そのため菅政権は最近、日本国民及び主流メディアの批判の的になっている。一部の地方自治体も政府による調整の乱れに不満を示しており、積極的かつ自発的に感染対策を講じている。しかしながら日本国内の感染状況は全体的に効果的にコントロールされておらず、一部地域では広く感染拡大している。今後の感染状況は依然として不確実だ。


 (二)経済回復の取り組みが弱く、短期間内に顕著な効果を上げられない。日本政府が先週発表した今年第1半期のデータによると、物価変動による影響を除く実質GDPは前四半期比で1.3%減、年率換算で5.1%減となった。つまり日本経済が昨年第3四半期にプラス化してから6カ月後、再びマイナス成長に戻ったということで、経済成長の原動力が大きく不足している現実が浮き彫りになった。感染症が猛威を振るうなか、経済の着実な回復の実現は菅政権が必要な政治資本を得るための重要な手段の一つであるが、菅政権が提出した成績表は理想的なものではなかった。多くの補償的な経済政策も決定の遅れや予算不足により批判を浴びており、政府はマクロ経済発展の調整の「絶好の時期」を失している。


 (三)五輪問題。東京五輪を順調に開催できるかは、菅政権の寿命を左右する決定的な要素の一つだ。中止を宣言すれば、菅政権は野党や党内の反対勢力から責任追及を受ける。菅氏は次期総裁選の競争力を失う可能性があり、与党・自民党も次の衆院選で大敗する可能性がある。まさにそのため、菅政権はジレンマに深く陥っている。日本で感染状況が依然として深刻であるにも関わらず五輪を開催すれば、政治的な評価を高められるかもしれないが支持率をさらに失うことは間違いない。しかし五輪を中止すれば、支持率を高められるかもしれないが、政治的な評価を失う。


 この3つの矛盾のうち、中心的な問題は新型コロナウイルスで、経済と五輪は派生的な問題だ。その最後の結果も、菅政権が順調かつ着実に感染症の試練を克服し、日本の衛生安全を保証し国民の基本的な健康の需要を満たせるかに左右される。

 

 戦略的な問題について、菅政権は戦後日本の保守型政府の伝統的な苦境から脱却しておらず、対米政策及び自国の発展の間で必要なバランスを完全に失っている。


 第二次大戦後、日本の発展方向及び対外戦略は無視できない歴史の影響を受けた。戦後日本及び日本社会の米国への心理を一言でまとめるならば、「畏敬」が最も適切だろう。「米国統治下の平和」は戦後の国際社会に対する日本の認識の前提になった。戦後の日本歴代政権を振り返ると、米国の政治の言いなりになることで政権の延命を図ることが、多くの政治リーダーが飽きずに繰り返してきた手段だ。言い換えるならば、米国の承認を求めることが戦後日本の政治の基本的なロジックになり、最も効果的で手っ取り早い政治的手段の一つであることが証明された。


 前任の安倍晋三氏と比べると、菅氏は首相としては個性と十分な政治的魅力がなく、自身の政策の特徴がないとされている。政権の延命を図る、もしくは政治的な評価を維持するため、菅政権はほぼ無条件に米国の需要を満たすことを選択し、それに基づき日本の対外政策、特に地域政策を策定・実行している。その結果、菅政権は外交面で常に「独立性」という根本的な問題を解消しておらず、必要な自主性が乏しい。


 上述したように、菅政権は戦術と戦略という二重の厳しい試練を迎えている。これらの問題は切り離されているように見えるが、実際には互いにつながっており、完全に克服し解消するのは極めて困難だ。菅政権の今後の政権運営はまさに「任重く道遠し」だ。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月24日

 

 

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