デジタル化改革に苦しむ日本

デジタル化改革に苦しむ日本。今や日本はスマホ製造がほぼ全滅で、さらには日本のデジタルカメラ業界もまとめてさらわれた…

タグ:デジタル 経済 モバイル ネットワーク

発信時間:2021-07-21 15:03:07 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本の行政改革担当大臣に就任してから約1年後、河野太郎氏は政府の各省庁に対してFAXの廃止を求めたが、不満の声が上がった。日本メディアの最近の報道によると、反対意見が殺到したため、河野氏は廃止の撤回を迫られている。改革が大きな抵抗を受けた。(筆者 劉慶彬・横浜国立大学客員教授)


 情報によると、反対者には多くの理由がある。調査のトップ3の理由は「情報安全の懸念」「通信環境が悪い」「電子メールを使いたくない」。これらは政府の社会管理の退化や、いわゆるデジタル化技術の遅れという日本の実態を浮き彫りにした。特に日本は「(デジタル化)途上国」という新たなレッテルを貼られており、これはアジア、さらには世界でほぼ異論の余地なき「共通認識」になっている。FAXを廃止できないことは、日本の「デジタル後進化」を再びメディアと人々に示すことになった。


 中国と日本で長年生活・学習・勤務している筆者の実感だが、中国やその他のアジアの発展途上国のほぼすべてがFAXの代わりに電子メール及びSNSから生まれた新メディアを使用している一方で、日本は政府から民間まで20年に渡り、FAX及びFAXによる組織内・組織間の情報交換方法を廃止できずにいる。日本でも電子メールとモバイルネットワークのSNSが早く普及した。特にLINEというメッセンジャーアプリは韓国の科学技術者が作り出したものだが、日本という応用シーンで成長しその他のアジアに輸出された。ところが残念なことに、日本には関連するサイバーセキュリティ維持システム及び企業、関連するデータ保管設備及び技術がない。今日もLINE社は自力で関連データを保管・維持できず、一部事業を韓国及び中国の企業に委託している。これはその後日本メディアによって、国のデータ安全問題と誇張された。


 その経緯を理解すれば、日本がなぜFAXとFAX中心の情報交流方法、この古い情報伝達システムを廃止できないかが理解しやすくなる。心理的に言えば、アナログ技術時代の成功者である日本は、かつて自国が誇りとしていたアナログ技術を捨てにくい(すでにデジタル化改革の「枷」になっているが)。


 携帯電話とモバイルネットワークが普及する前、日本では固定電話とネットワークが全国の津々浦々に普及した。家庭用や個人用の機種も、割安でFAXに切り替えることができた。そのため国民・企業・各省庁間でFAXを使い情報交換することは、対面式の交流よりも「ハイレベル」で「リモート」な選択肢だった。当然ながら日本もアナログ技術の寵児であるFAXのデジタル化を続けているが、ただそれが「出力」する紙と、その関連するデータ保全・維持システムが日本で閉ループを終え、日本の政界・経済界が廃止できないほどになっている。ところがこれは国民と消費者に厄介事をもたらした。


 移動通信とモバイルネットワークの普及に伴い、スマートフォンの各種機能はすでに当時の家庭用固定電話やFAXをはるかに上回っている。政府と企業について言えば、誰もが携帯電話を利用する若い世代と短期的に訪日する外国人にFAXで「リモート」な交流を強いるならば、これは時代錯誤であり、先進が後進に変わる典型例でもある。筆者が日本で経験したケースによると、これには「殿様商売」の傲慢さもある。


 モバイルネットワークの雛形が最も早く作られたのは日本だった。ドコモのiモードは、世界で最も早く携帯電話によるネット接続を実用化させた。ところが当時の日本は保守的で、スマホ分野で時代の流れに乗れなかった。今や日本はスマホ製造がほぼ全滅で、さらには日本のデジタルカメラ業界もまとめてさらわれた。その後の日本はデジタル化の競争でほぼ連戦連敗している。世界のIT業界には今や多くのユニコーン企業があるが、そのうち日本企業は何社あるだろうか。


 この話題に関しては、次のような観点がある。完成機(携帯電話など)は利益が少なく、部品や材料の比ではないため、日本企業は完成機を捨て部品に特化したというのだ。この観点の間違いは、部品及び材料の生産プロセスが単一的で、ほぼ独占すれば利益は確かに大きいが、雇用を余り創出できない点にある。これは、その技術のアップグレードと更新が既存の蓄積によるところが大きく、イノベーションへの貢献も少ないからだ。これは日本が長年に渡り画期的なイノベーションを生み出せず、産業が空洞化している原因だ。

 

  「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年7月21日

 

 

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