中国への認識を正さなければ、日本の焦りは募るばかり

中国網日本語版  |  2022-09-16

中国への認識を正さなければ、日本の焦りは募るばかり。両国間には「72年体制の疲労」が見られる。我々は今日、我々に平和を与えたこの制度を再確認する必要があるかもしれない…

タグ:中日友好 50年 経済 政治

発信時間:2022-09-16 15:39:20 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=劉迪・杏林大学総合政策学部教授


 中日国交正常化後、中日両国が1972年に構築した二国間関係は、50年の平和を維持した。しかし少なくとも今日の日本において、「日中友好」と口にするのは困難だ。両国間には「72年体制の疲労」が見られる。我々は今日、我々に平和を与えたこの制度を再確認する必要があるかもしれない。

 

 50年前の国交正常化の実践は、「大勢の赴くところ、人心の向かうところ」だった。中日両国は今日、互いに相手国にとって最も重要な国の一つになっており、この関係から恩恵をこうむっている。1972年の訪日中国人客は1万人未満だったが、2019年には959万人に拡大した。1972年の中日貿易額はわずか10億ドルだったが、2021年には3714億ドルに拡大した。2020年には11万人の日本人が中国に長期滞在し、77万人を超える中国人が日本に長期滞在していた。中日の2000年の交流において、関係が親しくなることもあれば疎遠になることもあったが、今日ほど緊密で盛大だったことはかつてない。

 

 日本は1970、80年代に「近代化」という枠組みで中国を観察した。この枠組みのもと、日本の中国問題学者は中国を近代化発展の背景下に置き、中国の改革開放を楽観していた。この期間中、日本の対中政府開発援助(ODA)が、中国の現代化建設に一定の力を発揮した。当時の両国間には一部の摩擦が存在していたが、いずれも善意には善意で応じた。

 

 2010年代になると、日本の対中関係の研究に「地政学」という枠組みが用いられるようになった。地政学は往々にして、現代国家関係を空間的な対立と競争に抽象化し、国際協力を見落としがちだ。地政学の学者は国家間の関係について考える際に、歴史や文化などの要素を抜きにする。この研究により、国際政治学には生存空間と赤裸々な欲望しか残されない。地政学的な視野の下、「中日対立」が不可避の結果になり、「中国の脅威」が日本の中国研究の潜在的な前提条件になった。

 

 19世紀の日本の近代化は中国の先を行った。20世紀の後半に入ると、中国は経済発展や社会ガバナンスなどの面で長期的な発展を実現した。中国の発展をどのように読み解くべきだろうか。歴史的に見ると、中国は常に世界の大国だ。今日の中国の発展は、その本質を示す一つの歴史の過程に過ぎない。しかし日本は中国の急速な発展に焦りを覚えている。ある日本の学者はかつて、中国周辺諸国の中国への認識を真剣に検討し、多くの良著を出版した。ほぼすべての国の国際政治学者は、本位的立場に基づく「選択性注目」の傾向を持つが、上述した日本の学者は次のことに気づいた。つまり日本の中国問題学者は多国のそれとは異なり、中国の発展に焦り、悲観しているということだ。

 

 両国の国交正常化の50年で、中国は「政治大国・経済弱国」から「政治大国・経済大国」に発展した。日本を含む多くの西側諸国は依然として、中国の発展をしっかり受け入れる心と制度の備えができていない。そこで中国をけん制することが、米日などの重要な政治・外交方針になった。

 

 また西側の知識界の一部は、中国の歴史認識を意図的に無視している。例えば英国の経済史学者のマディソンは、現代中国の発展はその歴史的な大国の地位を取り戻す過程であるとした。「中国包囲網」の枠組み内であっても、日本には異なる声を上げる人がいる。「日本経済新聞」はかつて記事の中で、紀元前3世紀の中国はインドと並び東洋の中心地であり、中国が西側よりも立ち遅れたのは18世紀に西側で産業革命が起こり帝国主義に向かった後のみであり、数千年の世界史においてはせいぜい200年ほどだと指摘した。この記事は異例にも、中国の発展の本質的な意義を正確に認識する必要があるとした。

 

 30年に渡る景気低迷が今の日本を苦しめている。しかし日本の政治・外交は「中国の脅威」への対応に専念している。この間違った認識は国全体の方向をミスリードしている。日本の経済安保戦略を例とすると、サプライチェーンから中国製品を意図的に排除しようとしているが、これは日本企業からの支持を得難い。中国企業がすでに世界の産業チェーンに浸透しており、脱中国製品は企業のコスト拡大と競争力の低下、さらには国際競争に参加できないことを意味するからだ。日本政府の現在の「中国包囲網」は、民間企業の赤字と国の借金を拡大する可能性が高い。岸田文雄首相はこのほど、日本政府及び民間は今後3年でアフリカに300億ドルを投資すると表明した。アフリカ投資は良いことだが、経済の法則に基づくのではなく対抗を目的とするならば、このような投資は成功し難い。

 

 良き世界の認識は国と民族に幸福をもたらす。悪い認識は国をミスリードし、さらには災いをもたらす。今日の日本の対中認識の裏側には、深刻な民族主義の焦りがある。この民族主義を克服・超越するためには、より普遍的で大きなアジアの想像力が必要だ。


  「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月16日

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