風雨に揺れる日本の工業の町

中国網日本語版  |  2022-09-19

風雨に揺れる日本の工業の町。相対的に安い人件費、高素養の労働力、競争に加わらない「眠れる」人材、割安な土地と不動産といった要素が、徐々に日本の工業の町の潜在力になろうとしている

タグ:コロナ 人材 技術 円安

発信時間:2022-09-19 15:15:02 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員


 世界の持続的な物価高、日本国内のさまざまな問題により、「匠の精神」で知られる日本の中小企業と、その所在地である多くの特色ある工業の町が苦しい状況を迎えている。

 

 日本による戦後の経済回復、東アジアの経済の奇跡において、中小企業は基礎的な力を発揮した。これは日本の「匠の精神」の集中的な具現化でもある。しかし日本経済が下り坂に入ると、製造企業が「失われた20年」においてコスト転嫁を加速し、日増しに拡大する外部からの競争とイノベーションの圧力を受け、没落に向かう中小企業がかつてない衝撃を受けた。特に現在は新型コロナウイルス、史上前例のない物価高、急激な円安、企業の優位性の低下という「4つの苦しみ」が重なり、一部の一芸に秀でた中小企業が経営難に陥っている。また多くの中小企業が集まる工業の町が、コストのコントロール喪失、技術の外部流出、職人の不足、変化への対応の遅れといった試練に直面している。東大阪市、東京都大田区などの工業の町が技術特許により世界を独占し、「匠の精神」により他社を圧倒した時代は過去のものとなった。

 

 8年間実施された「アベノミクス」により、日本の大企業が大きな利益を得たが、中小都市もしくは大都市の郊外にある中小企業は大企業との価格交渉がより困難になった。中小企業は下請け関係を維持するためコストと人員の削減を続けた。これにより技術の競争力とイノベーションの優位性も大幅に低下した。関東の製造業、関西の紡績業や卸売業などの中小企業が集中する業界は、アベノミクスの犠牲になった。

 

 感染症の衝撃により、工業の町がより多くの困難に直面している。感染症により多くの企業が人材不足と引き留め難に陥った。複数の大企業の操業停止はある工業の町全体のスリープを直接引き起こし得る。内外の産業チェーン・サプライチェーンの断裂は、大企業に依存し輸出を中心とする中小企業の経営難をさらに悪化させた。

 

 同時にロシアとウクライナの衝突による史上例のない物価高の圧力に歴史的な円安が重なり、企業は輸入原材料の高騰と輸出の競争力の低下という二重の圧力を受けている。これはまた技術によるサポート力を直接引き下げた。少子高齢化問題により、企業が長年の練磨により形成した技が失われ、廃業に追い込まれるリスクが出ている。


 しかし高齢化と企業の優位性の低下に伴い、長年上がらない賃金、円安進行による相対的に安い人件費、高素養の労働力、競争に加わらない「眠れる」人材、割安な土地と不動産といった要素が、徐々に日本の工業の町の潜在力になろうとしている。コロナ禍の日本の工業の町は風雨に揺れ、中小企業が経営の痛みに直面しているが、これは逆に中日韓が多国間経済・貿易協力を掘り下げる新たなチャンスを提供する。3カ国の中小企業は相互補完が可能だ。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月19日

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