ドル建てでみた日本経済が縮んでいる。1ドル=140円換算ならば今年の名目国内総生産(GDP)は30年ぶりに4兆ドルを下回り、4位のドイツとほぼ並ぶ見込みだ。ドル建ての日経平均株価は今年2割安に沈んでいる。賃金も30年前に逆戻りし、日本の購買力や人材吸引力を低下させている。高付加価値産業を基盤に、賃金が上がり通貨も強い経済構造への転換が日本の急務だ。19日付「日本経済新聞」が伝えた。
日本の経済成長や景況感は円ベースのGDPに連動する。今年のドル建てGDPが21年に比べ2割減るとしても大不況というわけではない。ところがドル建てでの国際比較は長い目でみた「国力」の指標になる。
一橋大学の野口悠紀雄名誉教授は、「通貨安は国力を低下させる。日本は海外から人材を引き付けられなくなり、経済成長を妨げる」と指摘した。
世界経済を揺るがすエネルギー高も、通貨安の国には重くのしかかっている。原油先物の代表的な指標であるドル建てのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、昨年末に比べ13%上昇した。円建ての東京商品取引所の原油先物(中心限月)は33%とさらに上昇している。
かつての円安局面の特徴だった、外国人が企業収益拡大を期待して日本株を買う動きも現在は見られない。
外国人は22年1−8月に日本株を2.7兆円売り越した。日銀が大規模な量的緩和策を始めて急速な円安となった13年1−8月に9.1兆円買い越したのとは対照的だ。海外からみれば日本の資産は価値が急減している。
円安は日本の輸出競争力を高めるほか、海外からの直接投資や観光客の誘因にもなる。景気刺激の面でも積極的な影響を生む。しかし90年代以降の円安を志向する政策の下で、IT投資不足などで産業競争力は落ちた。円安や金融緩和の支えに甘え改革を怠れば、日本の国力低下は止まらない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月22日