米国による貿易戦争の発動、ロシアとウクライナの衝突、世紀の感染症などの干渉・衝撃を受けつつも、東アジア経済は依然として力強い発展と統合の流れを示している。中国の製造業付加価値額の世界に占める割合は2010年の18.2%から21年の29.8%に上がった。中日韓の3カ国と最近急成長中のベトナムなどを加え、東アジアの製造業付加価値額が占める割合は21年に40%を大きく上回った。同時に東アジア諸国間の貿易額も急増し、地域内の経済関係がより緊密になっている。これは「脱グローバル化」と大国の地政学的駆け引きの強い干渉を受けながらも、東アジア経済の統合の内的原動力が依然として大きいことを意味している。
米国は高規格・高基準の貿易ルールにより国際経済の秩序を「更新」し、「インド太平洋経済枠組み」により地域の統合を再計画し、価値観を紐帯としサプライチェーンを再構築し、いわゆる「信頼できるパートナー」間の自由貿易を促進しようとしている。ところが米国は地域の製造業の持続的な拡大・高度化の需要を満たすより多くの市場を提供できておらず、地域内の市場の拡大と強化が必然的になっている。米国の狙い通りになりそうにないのは、その製造業再興と東アジアの製造業の統合中のよりスムーズでより良い発展との間に矛盾があるからだ。
さらに長期的に見ると、米国及び欧州の産業保護主義の台頭に伴い、東アジアと北米・欧州の先端産業の衝突が激化する可能性がある。日本などの一部の国は産業発展面で自ら米国の調整に合わせ、西側の産業チェーンにさらに溶け込もうとする。これは地域の統合ルートをより複雑にする。しかも米国は常に地域の強い存在であり、歴史紛争、地政学的な食い違い、安全の懸念などを絶えず利用し地域の統合に干渉している。中米の複雑な駆け引きを受け、ASEANの地域に準じる一体化がより多くの支持を集め、スムーズに掘り下げられ、地域の統合及び一体化発展に影響を及ぼす重要な要素になっている。南アジア、中央アジア、西アジアも東アジア経済との関係を深めている。グローバル化は逆境のなか地域化の傾向を示しており、それに伴う中国を中心とする地域産業チェーン統合が地域一体化の方向を決定するとは限らないが、大きな影響を生むことは間違いない。未来の地域一体化は引き続き複雑な駆け引きの中で道を、新たなバランス点を探る。(筆者・廖峥嶸 中国社会科学院平和発展研究所所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年2月6日