日本経済、再びモデル転換を迫られる恐れも

中国網日本語版  |  2023-02-28

日本経済、再びモデル転換を迫られる恐れも。

タグ:貿易 投資 GDP 日本企業 収益

発信時間:2023-02-28 14:59:14 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本の「貿易立国」という位置づけが曖昧になってきている。昨年の日本の経常収支は11兆4000億円で黒字を維持したが、前年比で47%と大幅に減少し、1986年以来の最大の下げ幅となった。その最大の原因は貿易赤字の拡大だ。投資は貿易に代わる日本の対外黒字の鍵となった。しかし日本が貿易大国から投資大国に転向するなか、急変する国際環境が新たな厳しい試練になっている。地政学的リスクや経済安保化の傾向、世界のバリューチェーンの再構築などの新たな情勢は、日本経済に再びモデル転換を迫る可能性がある。(筆者=張玉来・南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長)

 比較優位と「唯一性」の競争力

 日本メディアは最近、日本のGDPが年内にドイツに抜かれ世界4位になる懸念を伝えている。しかし国際通貨基金が予測する2023年度の日本の実質成長率は1.8%で、ドイツは0.1%のみだ。再び急激な円安が生じない限りドイツに抜かれる可能性は低い。

 国際競争力ランキングを見ると、日本は確かに下降傾向を示している。スイスの国際経営開発研究所(IMD)のランキングでは、日本は90年代の首位から22年の34位に下がった。しかし日本は科学の基礎、環境の健康、雇用などの競争力を保っており、いずれも世界トップ10に入っている。関連データは日本経済の比較優位を裏付ける。日本の21年の対外純資産は3兆6000億ドルで世界一。潤沢な資金が日本の新自由主義モデル転換の力強い後ろ盾になっている。

 また日本の世界経済への影響力は主に製造業に集中している。世界のバリューチェーンにおける日本は、規模よりも「唯一性」を特徴とする競争力を確立している。

 構造上の問題と新たな試練

 日本の出生数が昨年初めて80万人を割り、統計が始まった1899年以降で最低の数値となった。日本の総人口に占める高齢者の割合は現在29%にのぼっている。より深刻な高齢化は、日本経済発展の構造上の問題となっている。さらに日本企業はグローバル化経営モデルの構築を模索するなか、一連の新たな試練を迎えている。地政学的リスク、経済安保化、米国主導の「デカップリング」「チェーン断裂」など、新しい問題が続出している。国際協力銀行(JBIC)の調査によると、日本の製造業の21年の海外生産の割合は33.8%、海外販売の割合は36.3%だった。うち半導体を含む電子産業及び自動車産業の海外市場への依存度がさらに高く、いずれも45%前後にのぼっている。

 特に日本企業が手放せないのは中国市場だ。中国には3万1000社の日本企業が集まり、海外の日本企業の4割を占めている。投資収益率も対中国が最高で、15年に12%を超え、17年以降は15%を超えた。これは対米投資の3倍の水準だ。新型コロナウイルス発生前に日本経済の新たな支柱に成長したばかりのインバウンド観光も中国人客に強く依存した。これは日本の越境EC市場の需要とも密接に関連している。ところが岸田政権の言行は、日本の経済界を含む多くの関係者から懸念されている。昨年決定された「経済安全保障推進法」と、日本の「半導体クアッド」への積極的な加入は中国を念頭に置くものと見られている。これは中国で経営し、中国との関係が緊密な日本企業に深刻な衝撃を形成する可能性が高い。

 上述した内容の他に、すでに10年実施されている「金融ダブル緩和」政策の悪影響や気候環境なども、転換期にある日本経済の新たな試練となる。「灰色のサイ」及びいつでも到来しうる「ブラック・スワン」もあり、不確実性が日本経済の最も決定的な特徴となっている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年2月28日

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