「アジア代替サプライチェーン」は新冷戦に追随する論調

中国網日本語版  |  2023-03-10

「アジア代替サプライチェーン」は新冷戦に追随する論調。注意が必要だが、中国から外資が撤退し、中国が世界における生産の地位を失うとの説を「エコノミスト」が唱えたのは今回が初めてではない…

タグ:サプライチェーン 製造業 外資

発信時間:2023-03-10 17:04:34 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 英週刊紙「エコノミスト」は記事の中で、「Altasia」という新しい概念を生み出した。日本の北海道から始まり、韓国、中国台湾地区、ASEAN諸国、バングラデシュを経由し、さらにインド北西部のグジャラート州に至る三日月形の地域が、中国に代わる新たな「アジア代替サプライチェーン」になるというのだ。(筆者=鐘飛騰・中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院研究員、中国社会科学院地域安全研究センター主任)

 注意が必要だが、中国から外資が撤退し、中国が世界における生産の地位を失うとの説を「エコノミスト」が唱えたのは今回が初めてではない。「エコノミスト」は16年前の「中国での製造の問題」と題した特別報告の中で、「中国は必ずしも最高の生産地とは限らないと結論づける企業が増えている」と憶測した。

 驚くべきことに、「エコノミスト」は16年たった今も自分の世界に浸り、世界経済構造の重大な変化と中国経済の力強い発展を無視している。根本的に論じると、世界経済の運行のロジックにはすでに重大な変化が生じている。ところが「エコノミスト」のいわゆる「アジア代替サプライチェーン」は依然として地経学及び地政学の古い論調だ。歴史に詳しい人ならば、米国の地政学者が第二次大戦後に米政府に、アジア大陸と海洋世界の間の三日月形の地域でソ連の拡張を防ぐメカニズムを構築するよう提案したことを知っているだろう。今や米政府が絶えず中国に圧力をかけけん制する地政学的駆け引きを背景とし、「エコノミスト」はこの「新冷戦」に追随する論調を打ち出し、世論面で地経学の分散化のビジョンを描こうとしている。

 「エコノミスト」は2007年の年初に、グローバル企業は中国から撤退すると断言したが、すぐに08年のリーマン・ショックによって打ち破られた。国際連合貿易開発会議のデータによると、07年に中国に流入した外資は800億ドルにのぼり、08年には初めて1000億ドルを突破し、11年以降も長年に渡り1200億ドル以上をキープした。アジアに流入する外資に占める割合も07年の15.4%から13年の47.2%に上がった。中国の指導者は13年に「一帯一路」イニシアチブを掲げ、能動的により広い範囲内で資源を調整し、世界の発展により良い国際協力の舞台と国際公共財を提供した。その後中国に流入する外資は増加を続けたが、それがアジアに流入する外資に占める割合は低下し、20年には25.6%まで下がった。

 残高を見ると、中国に流入する外資がアジアに流入する外資に占める割合は、98年の22.0%から07年の10.3%に低下し、その後上昇を続け21年には20.9%にのぼった。長期的に見ると、07年は90年代のアジア通貨危機以降の最も深い谷だった。「エコノミスト」はこの時期に中国の外資導入の将来性に関する判断を誤った。歴史は繰り返される。22年は国際投資の低迷期で、「エコノミスト」は再び同じ時期にこの予測を発表し、二の舞を演じた。

 さらに重要なことに、「エコノミスト」は「アジア代替サプライチェーン」という概念を生み出す際に、アジアのサプライチェーンのコアコンピタンスを十分に認識しておらず、また周辺諸国に市場、発展のチャンス、中核部品などを提供する中国の不可欠な力を無視した。その他の国と中国の発展の断裂を重視し、地経学の分裂と分散化を作り上げた。世界の製造業は変革を迎えている。米国などは製造業と産業チェーンの回帰を促進しているが、世界の製造業の重心が東に移る流れは現在も持続的に強化されている。研究によると、変動を続けるアジアのサプライチェーンにおいて、ASEANの労働集約型製品の市場シェアが拡大し、中国はより高価値の部品供給センターになろうとしている。中国企業からASEANの製造業に流入する資金も急増しており、2つの経済体の間のサプライチェーンの流通性をさらに高めている。

 中国が新たな発展構造の構築を急ぎ、統一大市場がさらに十全になるにつれ、外資流入を決める要素にも変化が生じている。早期の発展段階においては、人件費と人口のボーナスが中国の外資導入で重要な力を発揮していたが、現段階では特大規模の市場とより優れたビジネス環境の魅力の方が大きい。特に高水準の開放の構造を構築しようとする中国政府の政策は、外資の中国における収益の将来性をさらに高め、また周辺の経済体とのつながりをより緊密にするだろう。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月10日

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