日銀総裁が10年ぶりに交代、金融政策に「急転換」はあるか

中国網日本語版  |  2023-04-10

日銀総裁が10年ぶりに交代、金融政策に「急転換」はあるか。

タグ:金融政策

発信時間:2023-04-10 13:48:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 経済学者の植田和男氏が9日、任期満了となった黒田東彦氏に代わり日本銀行(日銀)総裁に就任した。日本メディアと専門家は、黒田氏が長期的に堅持した超量的緩和策は修正を迫られているが、日本経済の回復の原動力が依然として乏しく2%の物価目標も達成されていないことから、金融政策が短期間内に大幅に調整される可能性は低く、日銀の量的緩和策の修正は難航し長期化すると見ている。


 超量的緩和策はアベノミクスの看板政策だった。円安が大幅に進行し、超量的緩和策が長期的に数多くの弊害を露呈している。


 第一に、市場が大きく歪み、金融政策の弾性が失われた。日銀は長期的にイールドカーブ・コントロールを実施している。市場関係者は、「日銀は過度に低い収益率で債券を購入し、市場価格を合理的な区間から外れさせ、市場の価格決定の機能が疑問視されている。日本の債券市場の流動性が低下に向かっている」との見方を示した。


 第二に、日銀は政府が依存する「ATM」に変わったが、これは財政の財務への依存を強めた。日銀が公表したデータによると、日本政府の2022年9月末までの国債発行残高は1066兆円にのぼり、うち日銀の保有が536億円と過半数を占めている。


   また、超量的緩和策の長期化により、政府は国債発行に過度に依存し、財政の規律を緩め、ゾンビ企業の延命を招いた。産業の新陳代謝が遅れ、生産性の向上に悪影響を及ぼした。


    日銀は昨年末に10年債利回りの許容上限を±0.25%から±0.5%に拡大した。市場はこれを政策調整の開始、事実上の利上げと判断した。


    植田氏は国会での質疑で、現行の金融緩和策を維持する基本的な態度を強調すると同時に、イールドカーブ・コントロールに副作用があることも認めた。需要に基づき黒田氏が長期的に堅持した超量的緩和策の検証に着手するとし、政策の修正に「多くの可能性」があると述べた。


    日本メディア及び専門家は、新総裁は継承と修正の間でのバランスと、政府、市場、各経済主体などの各方面の関係の調整を重視するとの見方を示した。「安全運転」の維持に取り組むと同時に、超量的緩和策の副作用を減らす。日本の金融政策の調整に急転換はないという。


    最近、シリコンバレー銀行やクレディ・スイスなどの欧米の銀行から問題が続出している。市場は欧米の金融システムの安定を強く懸念しており、日本もその影響を免れない。長期的に超低金利環境であったため、日本の多くの金融機関も債券の大規模投資を行っている。欧米の中央銀行が利上げを急ぎ、日銀の利上げへの予想が強まる中、日本の金融機関は内外から挟み撃ちを受け、帳面の損失が急激に膨らんでいる。


    データによると、地銀99行の外国債券と投資信託の運用状況は、昨年3月末時点で1627億円の含み損だったが、昨年末には1兆5159億円に膨らんだ。また国債などの国内債券投資について、日銀が昨年12月に長期利回りの許容上限を±0.25%から±0.5%に拡大したことにより、日本の銀行業の含み損が3カ月内に約8000億円激増した。


    専門家は、日本経済が長期的に低迷していることから、日銀の新指導層は数多くの挑戦に直面すると見ている。超量的緩和策の調整が一挙に行われることはなく、小幅の推進が対応策になりそうだ。イールドカーブ・コントロールの終了を急げば、それは金融政策の引き締めと利上げを意味し、一部の経営不振の地方銀行が破産・再編を迎える恐れがある。これは経済回復の原動力が乏しい日本にとって大きなリスクであり、将来的に再びデフレに陥る可能性がある。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月10日




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