文=張玉来 南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長
中国の李強総理は2日、訪中した日本の林芳正外相と会談した。中日首脳のバンコクでの会談に続き、中日関係は再び好転のシグナルを発した。日本の主流メディアは本件を積極的に評価している。特に経済界は中国が中日関係を高度に重視していることを認識し、今後の両国の経済協力の促進及び「新時代の中日関係」の構築に向け幸先の良いスタートを切り、良好な雰囲気を醸成した。
中日関係は堅固な経済の基礎を持つ。特に両国の産業間の相互補完性が重要な接着剤となっている。新型コロナウイルスの深刻な影響を受けながらも、昨年の中日貿易額は過去最大の3574億ドルにのぼった。さらに重要なのは両国の産業間の協力だ。在中国日本企業が減少を続けているとの調査もあるが、2021年の時点で依然として3万1000社と、先進国中最多となっている。対中投資額も、2022年末現在で残高ベースで1559億ドルにのぼっている。中日間の経済関係はすでに、貿易、投資、サービス、越境消費、グローバルバリューチェーン、第3国協力などの各分野を網羅し、「マルチルート」という新たな特徴を示している。
その一方で、中日関係は依然として複雑かつ敏感な状態にあり、多くの不確実なリスクをはらんでいる。米国の対中戦略が逆転し、新たな対中規制措置を主導し、その同盟国と積極的に手を結び中国に政治的な圧力と経済的な封鎖をかけている。この影響を受け、日本の対中政策にも揺れが生じている。林氏の訪中を前にし、日本は半導体製造装置などの23品目の輸出規制を発表した。同時に日本は世界の大変動を受け、戦略的な自主性の獲得を急ぎ、戦後レジームからの脱却を目指している。これも中日関係に深刻な影響を生んだことは間違いない。
しかし林氏が中国で発言したように、中日は広い分野で大きな協力の潜在力を持っている。これは岸田政権が戦略的な自主性を高めるため取り組むと同時に、新たな経済成長計画を積極的に検討し、中日の交流がもたらす政治的・経済的利益を手放さないことを示している。ゆえに経済グローバル化が壁にぶつかる現実を受け、アジアの経済建設の共同推進が中日協力の新たな成長源になるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月6日