日本政府は2021年4月に、23年の春・夏に海洋放出を開始するプランを最終決定した。核汚染水の海洋放出については先例がないため、日本政府のこの決定は国際社会から広く注目・懸念されている。
まず、福島原発の核汚染水の海洋放出プランは充分で科学的な論証が必要だ。科学界の多くの組織及び関係者が、日本政府の核汚染水海洋放出の主張を疑問視している。例えば日本の環境NGO法人「FoE Japan」は、福島原発周辺には約6400平方メートルの、短期間内に別の用途を持たない、汚水タンクを設置できる土地があり、約48年分の汚染水を保管できるとしている。48年後に核汚染水を放出すれば、環境への損害が大幅に減るというのだ。
少なくとも、海洋への直接の放出が現在の日本政府にとって「最良」の処理方法ではないと言える。国際原子力機関(IAEA)タスクフォースは日本の海洋放出プランの評価を完了しておらず、ましてや最終的な結論など出していない。核汚染水の処理技術は現在すでに成熟し、効果的になっているのだろうか。処理後の汚染水は人体の健康及び生態環境の安全にとって無害なのだろうか。多くの処理プランのうち、海洋放出が現段階で最良の処理プランなのだろうか。海洋放出の環境への影響及び範囲はどの程度か。少なくとも日本側はこれら一連の問題について充分に科学的に論証するべきだ。
次に、日本側の核汚染水海洋放出の処置は非公開かつ不透明だ。核汚染水の排出データを提供する東京電力にはデータの改ざんや虚偽の報告などの前科がある。東電はALPSの処理水のうち基準値を上回るのはトリチウムのみと報告していたが、メディアの暴露後になりヨウ素129、テクネチウム99、炭素14などの放射性物質も基準値を上回っていたことをようやく認めた。太平洋諸島フォーラムの専門家は以前、東電の核汚染水排出データの確認の独立性と検証可能性も満足できるものではないと表明した。東電の少数の措置は核汚染水海洋放出の透明性を高めるが、全体的に見ると日本側の核汚染水海洋放出措置の透明性と信頼性には納得できない。
最後に、日本側の行為には利害関係者から理解を得ようとする誠意がまったくない。「国連海洋法条約」や「生物多様性条約」などの規定によると、国は国を跨ぐ重大な悪影響を引き起こしうる計画中の活動の環境評価及び国を跨ぐ環境評価を行い、その結果を報告し、情報を交換し、協議しなければならない。残念ながら日本側は現在もいかなる環境評価報告を提出しておらず、中国や韓国などの隣国と充分に協議しておらず、各方面の合理的な懸念に真剣に反応していない。ましてやより広い地域の太平洋諸国及び世界の利害関係者と協議などしていない。日本政府は国際社会から信頼を得られるというのだろうか。(筆者は復旦大学環境科学・工学学科の博士研究員及び教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月20日