現在の日本が「徹底的な現実主義」を掲げる主因は、中米の駆け引きの激化とウクライナ危機であるとの見方もあるが、実際にはそればかりではない。日本はただこの2つの大事件を、大国になるための戦略の「絶好のてこ」と見ているだけだ。安倍晋三氏本人の言葉を借りると、第二次安倍内閣の7年8カ月で81回外遊し、外国の首脳と会談した際に、ほぼ必ず「中国の軍事力の急成長と海洋拡張」に言及した。安倍氏はさらに後半に入ったオバマ政権が、中国に充分に強硬な態度を示さないことに不満を持っていた。ウクライナ危機もまた、日本がいわゆる「中国の脅威」を強調するための口実に過ぎず、ゆえにウクライナ危機を無理やり台湾問題と関連づけている。安倍氏は「台湾有事は日本の有事」と吹聴し、岸田氏は「今日のウクライナは明日の東アジア」と称している。
岸田政権の現在の「徹底的な現実主義」は、多くの間違った論理の上に成り立っている。自国の外交の伝統と習慣がこの間違った論理を固め、掘り下げている。これこそが日本の外交の真の危険を生む。(筆者・霍建崗 中国現代国際関係研究院北東アジア研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月17日