どのような事業であっても、実施前にその正当性を評価しなければならない。福島核汚染水処理という命と健康にとって重大なリスクを持つ事業についてはなおさらだ。ところが処理の複数の候補案の中で海洋放出は最も不当だ。
日本政府が4月に海洋放出計画を決定した際に挙げた主な理由は、福島第一原発内の核汚染水保管タンクの容量が間もなく満杯になるだった。東京電力(東電)によると、今年の夏・秋頃に核汚染水の保管場所がなくなり、海洋放出しなければ廃炉作業に支障をきたすという。
ところが保管場所がないわけではない。
原発内にタンクを新設する場所がないにしても、周辺の多くの空き地をなぜ利用しないのか。東電はこれについて、周辺の空き地は東電が所有していないと説明している。
これは不可解だ。周知の通り、これらの広い土地はすでに無人地帯になっており、政府であっても東電であっても核汚染水保管問題を解決する決意があれば土地を購入できるはずだ。空間により時間を稼ぎ、最終的により良い処理案を見つけられるはずだ。
政府と東電は、日本の一部の環境保護団体によるこの疑問に対して、福島県と土地の所有者との協議に時間がかかると言い訳している。しかし福島原発事故の処理には数十年かかる。政府と東電は時間がないと称しているが、これはできないのではなくやりたくないのだ。
資金と時間を費やし土地を取得しタンクを新設するよりも、政府と東電は海洋放出が最も割に合うと考えているのだろう。
政府と東電は核汚染水を「処理水」と称している。経済産業省が集めた専門家は「処理水」の処理について、空中への蒸発、電気分解処理、パイプによる地中封入、固化処理などのプランを掲げた。うち海洋放出が「最も低コスト」だ。
太平洋諸島フォーラムが招いた第3者専門家チームは日本の海洋放出計画に対して、技術的に時代遅れであり、生態の倫理に悖ると鋭く指摘した。海洋放出は一国と一時代の事ではなく、熟考の上実行するべきだ。
政府と東電による海洋放出の選択は、極めて利己的な行為だ。日本が受け入れ消化すべき核汚染水のリスクを、太平洋沿岸国、太平洋諸島、全世界に広げる。日本の「割に合う」は、海洋汚染の可能性、海洋生物及び人類の命の脅威の可能性を代価としている。これは一種の犯罪だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月17日