中日韓3国の国民間の認識と感情は非常に複雑である。これは、3国が数千年にわたり隣り合い、長い歴史の中で関係が良くなったり悪くなったりしたためである。このような要因と国際情勢が複雑な状況下で、歴史の恩と恨みによる傷を癒すことは難しい。困難が重なり、3国が地域の共同発展のために努力していても、残念なことに、新型コロナウイルス発生後、更に現在になっても、国民間の好感度は低下し続けている。
3国は二国間関係を「正常な軌道」に戻そうと努力している。まず、韓国政府は日本との二国間関係の改善に向けて行動し、同時に韓中関係修復の呼び声も出ている。しかし残念なことに、情勢を改善できる新たな変化は見られず、中日韓3国の友好と調和は依然として任重くして道遠しという状況である。
思考を転換する時がきた。中日韓3国関係は二国間関係の総和によって決まるものではない。中韓・中日・韓日の二国間関係を飛び出し、東アジア、さらにはアジア全体の多国間関係という広い視野に目を向け、東アジア共通の価値と目標を探し、持続可能な発展の共同体を構築することが急務となっている。言い換えると、特定の国または二国間関係の総和から離脱し、東アジアの多国間という根源を出発点とし、互いの国の個性を尊重し、中日間3国の関係を再構築する必要がある。
アジア共同体を着眼点とすることは、蔓延している中日間の認識問題の緩和にもつながる。中日間3国は二国間関係の限定性から脱却し、アジア共通の価値を追求する第一歩を踏み出す行動において、文化の協力から始めることができる。3国はすでに文化分野で、1つのアジア文化を創造する協力を開始している。共同出資や協力を通して大量の商品を生産し、業界従事者は多国間協力を開始し国際舞台で活躍している。3国は知的財産権保護や協力などの方法を通し、協力する上で制限を受けない環境をつくり、協力を深めるために政策と産業のプラットフォームの構築に力を入れる必要がある。
そのほか、若者間の協力も推し進めなければいけない。前述の通り、3国の青年にはアジア人としての誇りをシェアし発揮できるプラットフォームが必要である。残念なことに、現在、若者がコミュニケーションを取り使用することのできるデジタルプラットフォームはそのような役割を果たしていないばかりか、逆に若者間のマイナス感情を高めている。中日韓3国はメタバースなどの傾向性のない新型のデジタルプラットフォームを共同構築し、若者に未来を想像するチャンスを提供する必要がある。
20世紀初め、欧州のある哲学者がEU構想を打ち出した際、二度の世界大戦で苦しんだ人たちは欧州一体化は不可能だと主張した。しかし、現在の欧州はEUを通して統制の枠組みを見事に構築した。中日韓3国がアジアの価値によって共同体を構築することは、今はおとぎ話のようだが、いつか現実になるだろう。(文:東亜文化センター理事長、 韓国の盧泰愚元大統領の息子)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年6月12日